ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年11月22日(土)
「心が小さくなってしまったら世界に生まれた意味がない」
わたしのことをおぼえてくれてありがとう
このあいだきぼうがでてきたとかいたけどなかなかしんじてもらえません

 小4の☆☆さんは、冒頭から、いきなりこういう文章を書いた。そして、そのことについてしばらく書いているうちに、算数の勉強を学校で教わりたいという話へと移っていった。そこで、彼女に、どこまで計算を知っているのと聞いたり、算数はどうして好きなのと聞いたりしているうちに、こんな文章が綴られた。

525÷5=105
ひとりでおぼえました
けいさんができるようになりたい
みんなもおなじだとおもいます
さんすうがすきなのはかずのしくみがおもしろいからです
かずのしくみについてかんがえているととてもしあわせです
たしたりひいたりかけたりわったりするとかずがへんかするのがおもしろいです

 単なる望みではなく、すでに自分で数のおもしろさを十分に見いだしていた上での気持ちだということがとてもよく伝わってきた。
 理系文系などという区別はいいかげんなものだとはわかってはいるが、彼女は理系なのかもしれないなどと思いつつ、一応、国語も聞いてみると好きだというので、先にやった小5の○○君と同じように、詩について尋ねてみた。すると作ったことがあるとのことで、今、書けるという。そこで書いてもらった詩は、驚くべき詩だった。


 このせかいにうまれて

まっしろなくもが
つらいこころをなぐさめる
こよなくあいしたくもだから
わたしのつらいきもちをしっている
もうすこししたらとてもきれいなひかりがさしてくるよと
そらのくもがいう
くらいそらにひとすじのひかりがさし
とてもあかるくいろづいて
こころいっぱいにひろがって
こころがすっかりかるくなった
そらがとてもひろいのに
こころもまけてはいられない
こころがちいさくなってしまったら
せかいにうまれたいみがない
こころがせまくなったら
はなにまけてしまう
のぞみをすてずにいきていく
もっとのぞみをそだてたい
こころがせまくならないように。


 そして、こんなことを付け加えた。

つくっていました
こころがせまくならないようにするために
さんすうだけでなくしもだいすきなものです
けいさんもだいすきです
すきなことがたくさんあるのでいっぱいべんきょうがしたいです
いつもそうかんがえています
すこしつくっています
とてもいいきもちになったときにつくっています
つくっていますがきいてもらったのははじめてです


 小5の○○君と同じように、彼女のこの詩もけっして誰かに見せるために作られたものではない。自分のためにだけ作られた純粋な詩だ。そして、算数もまた、数のしくみのおもしろさを知る喜びだけに支えられた純粋な世界だ。
 私たちが、まだ知らないとてつもないような世界を秘めた存在が、目の前にいる。


2008年11月22日 22時57分 | 記事へ | コメント(1) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩3 |
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2編の詩に心ゆさぶられるおもいです。
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