詩 「北からの声」
「詩を作ったことはありますか。」私は、最近、そういう問いをチャンスを見つけてはかけることにしている。そして、また、自分自身のためだけに紡がれた詩を、中学生の女の子から、聞かせてもらうことができた。
彼女が詩を綴る前に自分から語ったことは、演奏会のことだった。
えんそうかいにいきたいけどこえがでてしまうのでつれていってもらえません
くやしいです
くらしっくのえんそうかいにいきたいのですが しずかでないとだめだといわれてしまいます
いきたくてたまらないのですが くやしいです
おおきなこえがでてしまいます
すてきなきょくをきくとこえがでてしまいます
しらないひとがへんなかおをするのでいやです
くやしいです
ふだんのこえがでているだけなのにきこえてしまいます
でもききたいのでくやしいです
うるさくしているわけではないのに ざんねんです
ねがいは ねむったようなじょうたいできけるようになることです
つらいけど すきなことだからいいおんがくをききつずけたいですし
くらしっくのおんがくだけでなく いろんなおんがくをききたいです
なかなかむずかしいけどがんばりたいです
演奏会に行くと、どうしても声が出てしまう。それほど大きな声ではないそうなのだが、静まりかえった会場では、響き渡ってしまう。そう言えば、テレビで、呼吸器をつけた人が演奏会に行くことをめぐって、たいへんむずかしい議論になっていたのを見たことがある。無責任な答えだとは思ったが、たぶん、今どこにも答えはないから、これから、一歩ずつ、答えを作り出していくしかないのではないかと私は、彼女に告げた。そんなやりとりの後に、彼女に詩のことを尋ねてみたのだ。すると、さらさらと一篇の詩が書かれていった。
もう12月も間近な季節にふさわしい内容だった。
きたからのこえ
きたのそらからきこえている こえにむかって
わたしは さけぶ
すてきなくには どこにありますか
しっていたら おしえてください
つみぶかいめをした なきむしのすめるくには
どこにありますか
しっていたら おしえてください
くしんしているけど
このからだでは さがすことができません
きっといいくにが どこかにあるとおもうのですが
きぼうのくには みつかりません
いいくには どこにありますか
きたのほうからきこえるこえに
わたしはたずねる
いつまでも
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2008年12月1日 14時42分
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自主G23区1 |
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