ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年05月30日(金)
「生きてゆこう」
 6月11日、町田市障害者青年学級ととびたつ会のメンバーで、相模原9条の会の講演会(講師は澤地久枝さん)において、短い時間だが、歌を歌うことになった。
 とびたつ会の活動では、被爆者の方を招いて語ってもらったことがある。そして、その時、吉永小百合の朗読のよって有名になった栗原貞子さんの「生ましめんかな」の詩にも接した。原爆投下の夜、ある倒壊した建物の地下室で、若い女性が産気づいた。その時、一人の瀕死の女性が、手伝いを申し出る。彼女は産婆だった。そして、明け方、子どもは無事生まれ、瀕死の女性は息を引き取る。その情景を語った詩だった。
 そんな経験を織り交ぜてとびたつ会では、9条の会のための歌を作った。「生きてゆこう」という歌だ。
 
 生きてゆこう 生きてゆこう このいのちを
 生きてゆこう 生きてゆこう 平和をつないで
 すべてをうばう 一瞬の光 
 どこまで続くのか この苦しみは
 わずかなあかりの中 生まれるいのちに
 私は伝えたい 希望と勇気
 
 生きてゆこう 生きてゆこう このいのちを
 生きてゆこう 生きてゆこう 平和をつないで
 私の声を聞いてください あなたの声を聞かせてほしい
 あらそいはやめて 話し合おうよ
 私は伝えたい 希望と勇気
 
 私のいのち あなたのいのち
 大切に生きたい 同じ気持ち
 生きてゆこう 生きてゆこう このいのちを
 生きてゆこう 生きてゆこう 平和をつないで
 
 スタッフ会議で練習中、一人のスタッフが涙を流しながら、訴えたことがある。彼女は障害児の母親。今、息子は、とびたつ会のメンバーとして、この歌をともに歌っている。幼い頃から体が弱く、いのちが続くことだけを願って育てた息子が、今力強く、いのちの歌を歌っている。生きてほしいと願った気持ちを、全身に受けて育ってきた息子が、今、生きてゆこう、平和をつないでと歌っている。そのことがどんなにすばらしいことかと彼女はあつく語った。
 障害という状況の中で生きていくことと、いのちの問題は直結している。そして、いのちは平和とかたく結びついている。
 ある重度肢体不自由をもつ高校生が、語ったことがある。それは私の挑発に応えたものだった。私の挑発とは、障害の重い子どもの中に世界平和のことなどをつづる子どもがいるんだけど、そういうことを書くと、その子の言葉じゃないと言われてしまうということだ。すると、彼は次のように即答した。

せかいへいわのことぐらいどんなこどもでもかんがえています だってぼくたちはへいわなしゃかいでしかいきてゆけないのですから。ちべっとのしょうがいしゃはどうしているのでしょうか。きっとつらいおもいをしているのでしょう。だからへいわがひつようなのです。

 本当にその通りだ。激しい戦闘の地域で、どうやって彼らは生きてゆけるのだろう。平和をめぐる議論は単純なものではないことは私もわかっているつもりだ。しかし、こうした事実に、世界がもっと耳を傾けることがどれほど重要なことか。 
 私たちは、私たちの仲間とともに、せいいっぱい思いを歌う。仲間たちにしか伝えられないことをともに伝えていくために。  

2008年5月30日 01時48分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 青年学級 |
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