きちんと気持ちを聞いてくれ、気持ちを生かしてくれる施設
高1の○○君は、将来を見据えた文章を書いた。
いちばん言いたいことは、いいところに強いられずに行けるかということです。気持ちを言いたいけれど、気にしないでほしい、おかあさん。希望はいい作業所に行くことだけど、きちんとした自分の意見を言うことができないと、いちいち気持ちを言っていかなくてはいけないので、生き方としてはあまりいいとは思えない。希望はお母さんと一緒にいい施設を作ることです。いいお母さんとは、気持ちが自分で聞けていい注意をしてくれるお母さんのことです。まなざしを優しく向けてくれてり、話し合いをしてくれるお母さんです。小さいときからいいお母さんだったけど、気にしてくれたのはいつも周りに気を遣ったことで、自分のことは後回しだったから気の毒だった。気を遣った生き方を変えないと、いいお母さんでは続かないと思う。いいお母さんが自分は好きなので誓いとともに、改めてほしい。犠牲にならずに、言いたいことを自信を持って言ってほしいと思う。小さい時から気になっていた、自分の言いたいことが言えないで、我慢ばかりしているところが。小さいときは気づかなかったけど、気になり始めたので聞いてもらいました。気になり始めたのは、いい施設を探したいと思うようになってからです。小さい頃には気づかなかったけど、気になり始めたのです。
(母:施設とは、どの意味で言っているの?)
施設は卒業後行くところです。
(母:あなたの考えるいい施設とはどんな施設?)
いい施設はきちんと気持ちを聞いてくれ、きちんと気持ちを生かしてくれる施設です。希望は、気持ちいろいろ違う仲間たちを、違いを認めていき、一人一人を尊重する施設です。
(母;施設を作りたいと言っているけれど、いいところがあれば、そこでもいいの?)
いいです いいところがあれば。気持ちを大事にしてくれる施設があれば、そこがいい。いいところがあればいいと思う。(私:最近、パソコンがスピードアップしたのは、社会人の人たちのグループの中にいる、障害の重い人が、一緒に話し合いに参加できるように通訳をするようになったからだけど、いつか、パソコンを通訳として使えるようになれば、手話通訳みたいにして、言いたいことを言えるようになると思っている。)
犠牲にならずできることなの。
(私:家族がやれば犠牲になるかもしれないけれど、仕事として関わっている人がやれば犠牲になるということではないと思う。車いすを押すのと同じだから。)
以上のように、卒業後のことを、母への心遣いとともに、語った。通訳さえ存在すれば、彼は、もう、自立している身体障害者の方々のように、社会と対等に渡り合って行けると思う。まだまだ、通訳できる人は少ないが、けっして実現不可能な夢でもないように思えてきた。そして、さらに話は、これまでを振り返る話になっていった。
小さい頃からの夢でした、気持ちを伝えられるようになることが。自分だけではなく、小さいときから友だちもみんな話したいと思っていましたが、なかなかその願いはかないませんでした。気持ちを聞いてもらいたいけど信じてもらえませんでした。苦しかったけど、柴田先生に出会って初めて言いたいことが言えて、自分の言いたいことが言えるようになって、気持ちを表現できるようになって、気持ちが変わりました。気持ちが小さくなくなりました。いい人間になれそうな気がしてきました。気持ちが人に伝えられるようになってから、いい人生が送れそうな気がするようになりました。気持ちが理解されるようになってから、いい気分になることが多くなりました。気分が明るくなりました。いい気持ちです、気持ちがすらすら書けて。いい方法ですね。言いたいことが全部言えてよかったです。
本当はいい人生を送りたいとか、いい人間になりたいという当たり前の願いを持っていながら、なかなかその願いを育てきれずにいる。責任は、もっぱら社会の方にあるのに、それを、自分の責任であるかのように語る。
この高校生は、この自主グループ発足に、とても大きな役割を果たした少年である。出会いは小5の冬だったから、5年の月日が流れたことになる。しっかりとした考えをこれまでも、繰り返し示してきたが、こうして、将来のことをきちんと見据え、なおかつ、自分のこれまでのことを冷静に見つめ直している。過去から流れてきた時間と未来へ流れていく時間の間としての現在に、彼の立っている場所が、とても確かなものであることが、ひしひしと感じられる。
また、話ができるのが楽しみだ。
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2008年12月26日 00時01分
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