いい人間…気持ちよく人のことを思いやることのできる人間
27年つきあってきて、5月にようやく気持ちを表現することができた○○さんのお宅におじゃました。これで、文章を書き始めてから3度目の関わり合いになる。
最初に彼が言いたかったことして、次のような文章が書かれた。
ちいさいときからのゆめでした きもちをことばでいうことが
いいたいことがいいたいとおもってきた
いいたいことがいいたいけどいえなかったのでくやしかったけど てではなせるようになってかんげきしています
しばたせんせいはきっときもちがわかってくれるとおもっていましたが ちいさいころはいつかはなせるようになるとおもっていました
いいにんげんになりたいとおもっていましたが ちいさい いいこのままではいられず きになっていました
いいこになりたいとおもっていましたが きもちばかりでげんじつはきびしかったです くびをながくしてまっていていました このひがくることを
いいたいことがいえるようになったので これからはこころをいれかえていいにんげんになりたいとおもう
いいにんげんとはじぶんのことだけをかんがえるのではなく きもちよくひとのことをおもいやることができるにんげんのことです
そして、彼に詩を作ったことがありますかと尋ねると、とたんに笑顔が浮かんだ。そして、書かれた詩。カ行が選ばれ、「き」が選ばれると、やはり、彼もかという思いがした。そして、「きたかぜ」という言葉が綴られ、生まれた詩は、以下の通りである。
きたかぜにきいてみましょう
きぼうはきたのくにからくるのですか
きたかぜにきいてみましょう
にんげんにとってしあわせとはなんですか
しらないくにのしらないきたかぜにきいてみましょう
しろいきぼうのしかはらいねんのふゆにはやってきますか
いいしらせはきたかぜがはこんでくるのですか
きぼうときぼうがかさなって
にんげんにいいしあわせをもたらします
ちいさいにんげん ちいさいじぶん
しらないくにのしらないところから
ひとびとにいいしあわせをあたえるために
きたかぜはいいしらせをはこんできます
いいきたのきぼうをつたえてきます
いいきたのきぼう
すばらしいちきゅうとすばらしいちきゅうのひとびとに
いいしあわせをはこんできます
いいいちにちをいままでくるしんできたひとびとにあたえます
いいきたかぜに
しらないくにのきぼうをはこびます
いいきたかぜはきたのくにからふいてきて
いいしあわせをきぼうとともにはこびます
いいきぼうといいしあわせがかさなって
いいしあわせをひろげます
いいしあわせをたくさんあふれさせます
いいきたかぜはきたのくにから
きぼうといっしょにひとびとにふいてきます。
そして、その説明として次の文章が書かれた。これも一篇のしのようだ。
きたかぜはいいきぼうをはこんできます
きたかぜはいいうたをはこんできます
いいゆめをはこんできます
いいしらせをはこんできます
きたかぜとはきたのくにからふくかぜでしろいゆきをはこんできます
いいしらせをはこんできます
きたかぜというものにひとびとはきぼうのしらせをききます
ちいさいゆめいっぱいかかえてきたのくにからふいてきます
いいきぼうをもたらします
いいねがいいっぱいきたかぜははこびます
いいちいさいじぶんにいいきぼうをあたえてくれます
きたかぜのいみはいきることにくろうしたひとにしかわかりません
いいいきかたをしたいとおもいます
いいにんげんになりたいとおもいます
きたかぜというのはきぼうのきたかぜです
ここで、お母さんが、どんな苦労をしてきたのと尋ねると、次のような答えが返ってきた。
いいたいことがいえないことと いいからだでいいようないきかたができないことです
そして、お母さんが、ごめんねとあやまっていると、
いいじんせいです おかあさんやおとうさんにだいじにされて
いいかぞくにめぐまれてしあわせです
即座に返事が返ってきた。そして、お母さんは、現在施設にいることや、施設で出されるペースト状の食事について、質問したところ、返事は次のようなものだった。
××××はいいところです
うちにいるとせわがたいへんだからきかれてもこたえにくいです
おいしくはありませんがきらいではありません
いいあじつけにしてくれますから
いいしせつだとおもいます
そして、話は、7月の友だちにもやってほしいという話に続いていく。
しばたせんせいどうしたらきてもらえますか
ちかくにきたらよってくたさい りかいしてもらいたいともだちがたくさんいます きてもらえるとうれしいです
計算について、自分で式を作って答えも書いてほしいと言うと、なんと、3桁のわり算を書いてきた。
325÷5=65
じぶんでがくしゅうした
きになっていたのできいてもらえてうれしい
きちんとおしえてもらいたかった
そして、どんな歌が好きなのかと尋ねると返事は次の通りだった。
きもちがおちつくうたです きびしいときにいつもくちずさんでいるのはいつかのいいうたです
いつかのいい歌とは、どんな歌か、歌詞を書いてみてと頼むと
きぼうというなのあなたをたずねて
という出だしが書かれた。有名な歌なので私も知っているが、なんと、お父さんの話では、テープもCDも家にはあるそうだ。岸洋子の歌う「希望」である。彼は、希望の詩を作り、希望を歌いながら、ひそかに希望をつないできたということになるだろう。
それから、再び、自分の話に。
きっとちいさいころちいさいこどものままでいたかったけどいつまでもそういうわけにはいかなかった
きっとじぶんでいきていけるとおもっていたけどいいきっかけがなくていしをきいてもらえなかったのでざんねんだった
いまはしかたないとおもっています
いいじぶんのじんせいをおくりたいのでこれからもよろしくおねがいします
きてくださいなかがわのさとに
しばたせんせいのことをみんながまっていますのでおねがいします
×××せんせいにたのんでください
きてくれるようにきちんと おかおかあさんから
いちどきてください いつかかならず
そして、最後に、次のように書いて、この日の関わりを終えた。
きいてほしいことがありますいちばんかなしいのはともだちがなくなることです
いままでになんにんもなくなりました
みんなきもちがつたえたいとおもっていたのにできずになくなってしまいました
それがくやしいです
いつかきもちをつたえたいとねがっていたのだろうとおもいます
こんごそういうことがないようにおねがいします
いのっています いつも
のこりのじんせいをこころからしんけんにいきたいとおもいます
気持ちを伝えたかったけど伝えられずに亡くなってしまった人たちの思いを考えると胸が痛む。そして、彼の言うとおり、今後は、そういうことがないようにしなければならない。
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2008年12月28日 23時49分
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