ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年01月17日(土)
十字架のペンダントから
 高校1年生の○○さんは、楽しげに、会話をするようにワープロで文章を綴り始めた。

あけましておめでとうございます
しつれいしてしまいました
ひきしまったすがたでおあいしたかった
ぜひこのからだをじきにほそくしてみたいとおもいます
きりすときょうのじゅうじかのぺんだんとがほしい

 お正月で1sふとってしまったらしく、そのことをめぐる話と、ほしいペンダントの話。ずっと、けらけらと言っていいような笑いを浮かべながら書いていた。
 そして、突然、こんな質問が私に向けられた。

じゅうじかはなぜきりすときょうにかんけいあるのですか

 直感的に本人はある程度知っているはずだと思ったので、知っているのではないですかと問い返すと、次のような答えが返ってきたのだが、表情はいっきにまじめになり、何度も何度も手を止めて、今までになく長考する様子がうかがえた。そして、次のような文章が書かれた。

たぶんきりすとがはりつけになったときしんでからふっかつしてじんるいをすくったといわれていますがほんとうですか
にんげんはくるしみをにんたいすることがおおくてきりすとがいうみたいにはすくわれていないとおもいます
にんげんにとってくるしみはひつようなものなのでしょうか
ちいさいときからずっとからだがうごかないでにんたいしてきたわたしはずっとくるしくかんじていましたが すくわれたのはしんじつのことばをしったからです
にんたいこそしんじつにいちばんちかいということにきがついたからです
ひかりをもとめてきぼうをいのりつずけるということがとてもたいせつだとおもいます
にんたいこそがだいじで しんじつはほんとうのにんたいをしっているひとにしかわかりません

 さらに熟考している様子がうかがえたが、もう時間だったので、いったんワープロを終えた。そして、もしかしたら、ここから、詩みたいなイメージが広がっていくのと聞くと、そうだと言っているような気がしたので、どんな花が出てくるのと尋ね、手を握って、軽く動かしながら「アカサタナ」と聞いてみた。すると、力を入れて送ってきた合図によって得られた答えは、「ゆり」。残念ながら、そのイメージを書いてもらうことはできなかった。
 十字架のペンダントから思わぬ深い方向へと発展していった、今回の文章だが、彼女が発見したことは、十字架のペンダントの世界に限りなく近いということを、彼女自身は知らない。

2009年1月17日 00時53分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩1 |
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