盲学校にて2
梅雨入りを迎えた3日、八王子盲学校を訪ねた。今回、とても目を引いたのは、高等部の重複学級の○○さんだ。個別的な学習というものにあまり縁がないまま高等部からこの学校に入学してきた彼女は、最初、学習にのりにくかった。不意にご機嫌がくずれて、学習が中断する姿にこれまで何度も出会ってきた。しかし、担任の先生は、根気よく、いろいろな教材を通して学習にチャレンジしてきた。本当の彼女の力がどこにあり、本当に適切な教材はどのようなものか、なかなか探りにくいようだったが、そうした関わりの中で、先生はいくつかの教材を通して、彼女と確実に関われるようになっていった。その中に、見本合わせの課題があった。手元に一つの見本項があり、向こう側に二つの選択項があって、同じ方を持ってくるというものである。彼女とは、触覚的な質感の弁別として、「ざらざら」「つるつる」と呼ぶものを題材にして学習が進められていた。
その見本あわの選択項に、最近、リベットで作った点字が登場した。触覚的な実感の弁別からいきなり点字かというふうに思う人も少なくないだろう。しかし、確実に彼女は喜々としてとりくむようになっており、今回アやイの区別などができるようになっていた。
また、平行して50音の文字を押すと音声が出るおもちゃに点字を貼った教材で、ア行から1行ずつ触っていく学習もなされていた。これにも彼女は大変意欲的だった。
先月、彼女の学習の内容に関する話を、彼女の頭越しにしたとたん、彼女が教材を激しく押し返すということがあった。おそらく、自分のことが批評されることに誇りを傷つけられたのだろう。点字の学習がここで適切かどうか、私は、遠くない日に間違いなかったとの結論が出ると思っているが、今、確実に言えることは、彼女は今、点字の学習をすることに強い誇りをもっているということだ。その誇りが彼女の表情にとても気高い品位を与えていた。
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2008年6月7日 00時27分
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