ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年01月31日(土)
新年の奇跡 小児科病棟にて
 わずかな手の動きを読み取って2時間近くかけて、ようやく30文字くらい読み取れるようになってきた☆☆さんに、手をとって、軽くふりながら「あかさたな」と聞いていく方法を試してみた。すると、あんなに難航していた読み取りが、とても簡単にできるようになった。以下は、担任の先生が書き取ってくれた文章である。

うれしい ねがっていました かんたん じぶんのきもちをほんとうにつたえることができたらうれしい
(担任の先生とやって)
らく
(再び私と)
しんねんあけましておめでとうございます ことしもよろしくおねがいします
きせきのようです ながねんきもちをつたえたかったです にんたいしてきたけどこれできもちがつたえられます きぼうがでてきました なんねんもけんとうしてきてよかったとおもいます きっとかなうとしんじていました まるでゆめのようです ねがいがかなってしあわせです

(おかあさんと)

(私がひきついで)もよこれがわたしのことばです 
きいてください りかいしてくださってありがとうございます
(私が「ともよ、はともだちのこと?」と聞くと、)
はい
(母さんに伝えたいことは?と聞くと)
いつもわたしののぞんでいることをたいせつにかんがえてくれてかんしゃしています 
ねがっていますわたしのてのあいずがかあさんにもつたわることを きっとできるようになるとしんじています

(最後に)
しばたせんせいありがとうございます ○○くんがまっていますからおわります

 そして、となりのベッドの○○くんのもとへ行く。そして、彼にも同じ方法を試してみる。すると、うまくいくではないか。残念ながら、彼の担任先生が書き取ってくれたものは、病室に残してきてしまった。
 「ちいさないのちだけど、がんばっていることを日本中の人にしってもらいたい」というような言葉も含まれていた。これまでの、口元でスイッチを押していく方法では、なかなか達成できなかったスピードと正確さで、本当にたくさんの文章を綴った。
 そして、一区切りついたところで、☆☆さんのお母さんがから、一つ尋ねてもらいたいことがあると言われた。それは、「急に目が大きくなって心拍が120くらい上がることが時々あるけど、あれは何がおきているの?」という質問だった。

ちからがはいってしまうけどだいじょうぶです すぐらくになります
(担任の先生が「痛いの?」ときくと)
いたくありません
(本当の最後に)
きてくれてありがとうございます またまっています


 彼女は、思わず、「きせき」と書いた。おそらく、私が関わっていて、いちばん手の反応がかすかな☆☆さんに対する成功は、本当に奇跡のようだった。

2009年1月31日 23時27分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 小児科病棟 |
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