中学生の二人の少年の詩
二人の中学生が、それぞれ、詩を書いた。多くの人たちと同じように、彼らもまた、北という方向と風とに特別の思いを抱いていた。
しろいかぜがふいてねむりについたぼくは
のはらをはしるしろいうまになり
ちいさいすーねをきぼうのかぜにのせてあげようと
きたにむかってとぶようにかけていった
しろいかぜはいいうまにしてくれるかぜ
めをとじるときたのしろいだいちがみえる
ちいさいときからはなすことができなかったぼくの
かなしみがそこにはねむっている
しろいかぜはそんなぼくのねがいをしっていて
ねがいをかなえるためにふいてくる
ちいさいねがいだけどたいせつなぼくのきもちだ
しろいかぜよ
くるしみをつよいみらいへのきぼうにかえて
ゆめをいっぱいください
ぼくのしろいたてがみをせいいっぱいゆらし
せいいっぱいかけていけるようみまもってほしい
「ちいさいときからはなすことができなかたぼくのかなしみがそこにはねむっている」という言葉が、ずっしりと響いた。中3の彼は、これまで、自分で何とか書こうという強い自立の意志を持っていたので、たくさん書ける今の方法は、試してみてこなかった。今回が初めての挑戦になる。これまで、どちらかというと、いたずらっ子風の言葉使いがめだっていたが、今回は、一気に、まじめな顔を見せた。そして、途中、うなるような声を出していたので、手をつないでふる方法で、その声にはどんな感情がこもっているのかを尋ねると、「うれしい」という返事だった。
二人目は、中2の少年だ。
きたかぜにきいてみよう
ずっとまえからみみをすませてきいていました
しろいゆきはひとのこころをうつくしくして
きたのくにへとかえっていきます
きたかぜはしずかにしずかにふいてきます
きたかぜはしろいゆきをしたがえて
みらいのゆめをぼくにくれます
ちいさいぼくはきぼうをゆめみながら
ちいさいころのねがいを
ちいさいみらいにずっとまえからゆめみていました
きぼうのきたかぜはちいさいぼくにりそうをくれて
きぼうをくれました
きたかぜはしろいゆきといっしょに
きたのくにからふいてきて
にんげんにきぼうをあたえます
きぼうのきたかぜがふいて
きぼうがだいちにみちあふれます
ちいさいぼくはねがいをもちながら
きょうもみみをすませている
そして、詩を作ることについての彼のコメントは以下のようなもの。
かんがえているときもちがおちつきます
きいてくださってありがとうございます
うれしいですいいきもちです
彼とも、手を握ってふる方法も試してみた。おかあさんも、これならやれそうとおっしゃる。これからの広がりが楽しみだ。
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2009年2月7日 22時02分
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