ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年02月13日(金)
あさひにはえるきくのすがたをみるととてもいいきもちになる
 学校で一度、短い時間をお会いして、パソコンと手をとって「あかさたな…」と聞いていく方法とで表現できることがわかった高校生の女性のお宅を訪問した。
 お母さんは、17年間の思いを聞きたいとたくさん、質問を用意しておられた。彼女の答えの文章は1400文字を越える長い長いものになった。
 彼女の文章からにじみ出てくるのは、とても控えめな慎み深さと、家族への感謝の思い。ところどころ抜粋しながら紹介したい。

またあえてうれしいです
いいたいことがいえていいきぶんです
(食事についての問いに対して)
しょくじはたりています
ちいさいときからじぶんでたべたいとおもっていましたがむつかしいとあきらめていました
ちいさいときからきもちをつたえたかったのでとてもうれしいです
いいたいことがいえてとてもしあわせです
(気持ちの表現をくみとろうとするお母さんの努力について)
じぶんのきもちをつたえられなくていつもこまっています
いいたいことすべてをきいてほしいとおもうけどそこまでもとめてはわるいからかあさんあまりむりをしなくていいよ
かあさんにもじぶんのやりたいことをしてほしい
かあさんにもかあさんのじんせいがありますからかあさんのくろうをかんがえるといいちかいをしなければいけません
(お父さんからの日曜日の過ごし方についての問いに対して)
にちようびはきゅうけいできればじゅうぶんです
たのみがあります
かわいいきくのはなをそだててみたいです
きくのはながだいすきです
はなはだいすきですが みるのがたいへんでわらうことができません
ばらのはなもだいすきですが なんとなくきくのほうがすきです
ちいさいころからきくのはながすきでした
あさひにはえるきくのすがたをみるととてもいいきもちになります
あささむいときは きくのはなもさむそうにしていて
あさくもっていると きくのこころもくもっているようにみえます
(特にこうしてもらいたいということはという問いに対して)
いつもかんしゃしているのでべつにありません
(おばあちゃんがなくなったことに関して)
おばあちゃんがなくなったことはしっています
じっかからでんわがあったときにわかりました
いいおばあちゃんだったからざんねんでした
ちいさいころからいつもかわいがってくれたのでとてもかなしかったです
いいおもいでがたくさんあります
さびしいですあえなくなって
あきらめきれません
いつもおもいだしています
じかんがたてばわすれらるかもしれませんがわすれたくないです
いいおもいでにできたらいいなとおもいます
きっといつかいいおもいでになるとおもいます
いつかいいほんとうのおもいでになったらいつかおばあちゃんのおはかにおまいりしたいとおもいます

ねがいはみんなとはなしができるようになることですがあまりむりをしないでほしいとおもいます
いいかげんかもしれないけどしあわせですからあまりそんなにようきゅうはしたくありません
あいしてくれればじゅうぶんです
いいかぞくにかこまれてしあわせです
(水泳教室で手を伸ばすことをめぐって)
てをのばすのはたいへんです
からだにちからがはいってしまうのでにんげんとしていきていきたいとおもいますので
すいえいのことはこれいじょうようきゅうしないでください
ひとそれぞれだからかまわないとおもいます
すいえいはすきです
いきたいです
みずのなかだとからだがらくです
にんげんとしていきていきたいだけです
にんげんとしていいじんせいがおくれたらいいとおもいます
(本を読んでもらうことについて)
ほんはだいすきですがよんでもらわなければいけないのでもうしわけありません
ひまだったらおねがいします
れんあいものがいいです
(さんぽについて)
おさんぽは はながみられるところがいいです
はなをみてるときもちがゆたかになります
ちいさいときからすきでした
きっといつかはなのようなひとになりたいとおもっていました
(手をとって話すやり方で話していると)
本当の事を言うと、のほほんと生きていければいいと思うので、柴田先生のやり方をお母さんができなくてもかまわないです。
いいやり方なので、愛してくれる人が現れたら、やってもらう。
大丈夫。(ここはお母さんによるメモ)
(好きな人はいるのという問いに対して)
いました
きいてもないしょです
ひみつです

 終始和やかな空気の中で、しかし、はっとするほど大人の気持ちがさりげなく表現された。
 人間として生きていくということの中に、たくましく、自分の障害をめぐる状況を、きちんと受け止めていることもうかがえる。
 心が洗われるような、すてきなひとときだった。
  

2009年2月13日 23時27分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 家庭訪問 |
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