ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年03月01日(日)
昨日の雪が運んだメッセージ
 関東平野にこの冬初めての本格的な雪が降った。積もるにはいたらなかったが、私はこの3月で引き払うことになっている渋谷キャンパスの16階の研究室の窓から、その雪の乱舞を見ていた。南に育ったので、雪の苦労を知らない私には、雪はただただ胸躍るものだが、今年は、これまでとはちがった別の思いで雪を見ていた。それは、一連の北風や雪の希望の詩を綴ってきた人たちが、どんな思いでこの雪をながめていることだろうという思いがあったからだ。私のうすっぺらな情緒よりも何倍も深い思いで、この雪を眺めている人たちがいるという思いの方が、雪そのものを味わう気持ちよりも数段まさっていた。
 そして、翌日、3名の小学生が、その雪にまつわる美しい言葉を書いてくれた。
 最初は、小学5年生の○○君。

きのうゆきがふってとてもうれしかったです
ねえさんとみたゆきをおもいだしました 
なんねんもまっていました きれいなゆきがふるのを 
きれいなゆきはきたのくにからのおくりものです 
きたのじんせいにつかれたひとたちのきぼうをのせてゆきはふります 
いきることにつかれたひとたちがきぼうをにんげんにあたえるためにふってきます 
きたのくにのひじょうにつかれたひとたちは
はるのくるのをひじょうにまちこがれていてきもちをすませているので 
とてもきれいなこころをしています 
いいこころをもったひとたちのじかんはゆめにあふれています 
じかんがちいさくねがいをつつみこみきぼうにかえてくれるのです 
きぼうはいつもにんげんにとってひつようなものです 
じぶんにとってもきぼうはひつようです 
にんげんだからじぶんのじんせいをちゃんといきていきたいとおもいます 
みたこともないようなすてきなきぼうがわいてきました 
きぼうがわいてきました 
いいじんせいがおくれそうなきがしてきました 
いいじんせいをつかみたいとおもいます 
きのうのゆきにかんしゃしています 
いいゆきでした 
きぼうのゆきでした 
きたのくにのきぼうをもらいました 
ひかりがさしてきました 
はるといっしょにひかりがさしてきました 
きぼうのねがいがかないぼくというそんざいにひかりがさしてきました 
いいちいさくひかるきぼうのそんざいとして
きのうのゆきのようにきれいなこころでいきていきたいとおもいます 
いいちいさいひかるそんざいとしていきていきたいとおもいます 
いいじんせいをおくりたいとおもいます 
いいにんげんになりたいです 
いいにんげんとしていいじんせいをいきていきたいとおもいます 

 なお、冒頭の「ねえさん」とは、

ぼくのあこがれのそんざいでちいさいころからぼくにきぼうをくれるそうぞうじょうのひとです 

 とのことだった。

 次は、同じく小学5年生の◇◇君。また詩を考えてきた?と尋ねると、

かんがえてきました きいてください

と答えて詩を綴った。

きたのくにからふくかぜはいいきぼうをつれてやってくる
しろいゆきをふらせ しろいしろいちいさなきにしろいしろいはなをさかせる
きびしいにんげんにとって きたかぜはきぼうのかぜだ
にんげんにとっていいべんきょうをさせてくれる
きたかぜはきびしさのいみをおしえてくれる
きたからふくかぜは きたのくにでくるしんでいるひとにきぼうをあたえてふいてくる
きたかぜにはきたのくにのひとたちのきぼうのきもちがこもっている
きたかぜをききながらしろいゆきをみつめながら
ぼくははるがくるのをまちこがれている。

 そして、さらに以下のコメントを加えた。

きたかぜはじぶんにとってかんどうてき
にんげんにとってはねがいをかなえてくれるかぜです
ちいさいころからそんなふうにかんがえてきました
いいきもちですしぜんにはまなぶことがたくさんあります
ちいさいときからしぜんがだいすきでした。

 3番目は、小学4年生の☆☆さん。

きいてほしいことがあります 

 と書いてから、美しい詩が綴られた。

きのうきれいなゆきがふりました 
いいねがいのかぜといっしょにやってきました 
きれいなゆきはしろいいいいぬをつれてやってきました
いいしろいゆきはわたしにゆうきをくれました
いいしろいゆきはにんげんにいいきぼうをくれます
いいしろいゆきは いいかぜといっしょにふいてきて きぼうをにんげんにくれました
いいしろいゆきは しらないせかいからのじぶんにむけられためっせーじです
ちいさいころからはなしができず 
ちいさいころからかんがえだけをたいせつにしてきたわたしには
いいちいさいめっせーじです
しろいゆきはじぶんにとって きびしいしれんにかつためのちからをあたえてくれます
かんがえだけをかんがえつづけたわたしにとって ちいさいりそうのめっせーじです
しろいゆきはきたのくにからやってきて
きたのくにのひとびとのくるしみをつたえてくれます
しろいゆきはだからきぼうのきたかぜといっしょにふくのです
ちいさいいいめっせーじはしろいゆきがとどけてくれたたからもの
じぶんにゆうきとちからをくれてじぶんにきぼうをあたえてくれました。

ゆきがふってちいさいころからのことをおもいだしました きいてください

みたこともないきれいなゆきのたんじょうに
わたしはゆめみていた きれいなこころになることを
しらないせかいのちいさなきぼうをちいさなわたしはゆめみながら
きぼうをねがいながらじぶんもいいにんげんになりたいとねがってきました
いいにんげんになるためにひつようなものはいきるきぼうです
ちいさいわたしはにんげんとしていきていくことをねがいながら
きぼうをさがしつづけていきてきた
きぼうはきぼうのくにからやってくる
しろいゆきといっしょにやってくる
しろいいぬといっしょにやってくる
きたのくにからきたのひとびとのくるしさをしずめながらやってくる
きぼうのかぜといっしょにやってくる
きたかぜはだからきぼうのかぜ
じぶんにいきるきぼうをつれてくる。

 そして、ここで、○○君と◇◇君の書いたものを紹介し、さらに、同じような気持ちを書いている人たちの詩がたくさんあることを伝えた。

きたかぜのことをおなじようにかんがえているひとがいるとはおもいませんでした
きたかぜのいみがわかるのはほんとうのくるしさをしっているひとです
きぼうのかぜだとおもうのはほんとうのかなしみをしっているひとです
じぶんにとってたいせつないいかぜでした
いいかぜをかんじながらいきていきたいとおもいます

 自然は、本当に心から目をこらしたり、耳をすましたりすれば、同じ思いを抱いている人たちには、共通のメッセージを送ってくるものなのだろう。雪は、大切な希望のメッセージを送っているらしい。私が、胸をわずかでもときめかせるのは、私にも、雪はいくばくかの希望を与えてくれたからだろう。


2009年3月1日 00時05分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩3 |
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