ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

»くわしく見る
2009年03月09日(月)
しろいしろいゆきはどうしてかなしいのだろう
 これまで、2人でいつもパソコンで会話をしてきた男子中学生○○君と女子高生☆☆さんがいる。しばらく、2人の会話に立ち入ることはできなかった。ところが、速度の速い方法を2人に示してから、2人は一気に、深い内容の文章を綴るようになった。
 前回、女子高生が休んだ時、○○君は白い馬の詩を書いた。今回その詩を☆☆さんに聞かせた。すると、次のような感想が返ってきた。

いいしですねかんどうしました
ひいでたしだとおもいました
ねがいのつよさがつたわってきました
はっとさせられるようなないようでした。
ちいさいときからいろいろくろうしてきたことがつたわってきました
きもちがじっとしているととぎすまされていくのですね
ちいさいときからことばをかんがえていきてきたとおもうのでできるのだとおもいます
わたしもおなじです
ちいさいときからしをかんがえてきました
いいきもちになるからです
きいてくれますか

 ☆☆さんも、また、詩を作ってきたという。そして、次の詩が書かれた。

しろいしろいゆきはどうしてきたのくにからやってくるのだろう
しろいしろいゆきはどうしてかなしいのだろう
かなしみはどうしてうつくしいのだろう
かなしみはしろいゆきにどうしてにあうのだろう
ちいさいわたしはどうしてかなしいのだろう
ちいさいわたしはどうしてなみだをながすのだろう
ちいさいわたしはしろいゆきがだいすきだ
ばかにされたりどうじょうされたりしながらわたしはいきてきた
きもちをいえずにちいさいときからわたしはいきてきた
ちいさいわたしはいつもしろいゆきをまちこがれている
しろいゆきをゆめみている
きたかぜとしろいゆきはちいさいわたしにむかってふいてくる
しろいゆきをふきあつめてわたしにむかってふくきたかぜは
だからきぼうのかぜだ
ねがいをきいてねがいをかなえてくれるきぼうのかぜだ
いいきたかぜをかんじながらいいわたしはきぼうにむねをときめかせている。

 これまで、ずっとパソコンでいろいろと語ってきた☆☆さんが、自分から詩について語らなかった理由を尋ねると、次のような答えだった。

ひとにきかせるものではないとおもってきたからです
きいてもらえてうれしいです

 また、多くの人が北風と希望を結びつけた詩を書いていることを説明すると、次のような意見を聞かせてくれた。

ちいさいときからきたかぜがだいすきでした
いいわたしにしてくれるようなきがするからです
にんげんはきたかぜをきらいますがほんとうのかなしみをしっているひとにとってきたかぜはきぼうのかぜなのです
ちいさいころからしをつくってきたのでいつもきいてもらいたいとおもってきました

 本当の悲しみを知っているというような言葉は、お母さんにつらく響くことがあるから、お母さんに一言、書いてほしいとお願いした。

おかあさんはいつもわたしのことをりかいしてくれました
しはわたしのくろうしてきたきもちをかいただけです
わたしをいつもだいじにしてくれてかんしゃしていますからあんしんしてください
きいていただいてありがとうございます

 長文を書いた後、手を振って気持ちを聞き取るやり方をお母さんに紹介した。パソコンの援助もご自分でやれるようになったお母さんだが、この方法も、比較的簡単にやれるようになった。社会に出るのを間近に控えた☆☆さんの世界が、もっともっと広がればと思う。

2009年3月9日 23時31分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G埼玉1 |
トラックバックURL:http://blog.zaq.ne.jp/yshibata1958/trackback/193/
コメントを記入  
お名前(必須)
 
パスワード:
 
メール:
 
URL:
 
非公開:  クッキーに保存: 
※非公開にチェックを入れると、管理者のみにコメントが届きます。
ブログの画面には表示されません。
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク