ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年03月29日(日)
くもがはれた
 4月から高校3年生になる☆☆さんを3歳の時から関わってきて、今は遠くに住んでいる○○先生がひさしぶりにやってきた。☆☆さんが、速いスピードで文章を綴れるようになったのを見るのは初めてのことだ。

なつかしいね○○せんせい
じぶんもようやくこうこうさんねんになります
にんたいしてきましたがねがいがかなってはなせるようになりました
ぬいぐるみのようなじんせいにおわかれすることができました
ちいさいときからずっとひとりぼっちだったけど みんなとはなせるようになってねがいがかないました
じぶんのじんせいだからひんのあるじかんをたいせつにしていきたいとおもいます
ちいさいねがいですがひとりでゆめをかなえたいとおもいます
のぞみはひとりでくらすことです
ふりいなせいかつをしたいとおもいます
にんげんとしてできることをたいせつにしていきたいとおもいます
みんなとはなしたいです

 話せるようになった喜びを、一生懸命久しぶりにあった○○先生に語った文章だ。社会に出る日がしだいに近づき、自分の人生について考えることが増えてきたということだろう。「ひんのあるせいかつ」「ふりいなせいかつ」といった、言葉がひときわ目を引く。そして「のぞみはひとりでくらすこと」。
 そして、話は、スイッチ操作の方法に及ぶ。
 
ふしぎです ちからをこめていないのにどうしてわかるのですか

 いろいろな方から問い返される言葉だが、今回は、☆☆さんは、どうやっているのと聞き返してみた。すると、うまい説明が返ってきた。 

ねんじています さきのもじをそこにきたらここだとおもっています

 そして、○○先生に代わってもらったが、初めてなのに、次のような言葉を聞き取ることができた。

すき
ねがいが かなった
ほんとう くもがはれた

 ○○先生は、しきりに、わかってあげられなくてごめんねと繰り返す。私たちの、本当の気持ちだ。○○先生が通園施設で関わってきた10人ほどの「障害の重い」子どもとともに始めた会だが、いつか、すべての子どもが文章を綴るようになった。「くもがはれた」という思いを、じっとかみしめたい。

 

2009年3月29日 02時35分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩1 |
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