ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年04月14日(火)
ゆめわぴあにすとになることです 
 未熟児網膜症のために、ほぼ全盲に近い視力しかなく、幼少期より点字を獲得することを夢見て学習を続け、点字タイプライターやパソコンの点字入力ができるまでになり、現在の課題は、点字用紙に書かれた点字をすらすらと読むことが課題になっている○○君に、ワープロソフトを試みるようになるとは、思ってもみなかった。しかし、気持ちを綴れるようになって、今回で3度目。その内容も安定してきた。(なお、点字表記をもとにしているので、助詞の「は」は「わ」になっている。)

じぶんのきもちをつたえたい にんげんだからきもちをつたえたい 
にんげんだからゆめがあります ゆめわぴあにすとになることです ゆめわみんなともっとはなせるようになることです にんげんだからゆめをもっていきたいです 
ねがいわはつこいをけんきゅうすることです 

 彼は、学校で、様々な文学作品を暗唱する学習をしているが、「はつこい」は、その中の一つ、島崎藤村の「初恋」である。

ふつうにりかいしているのにみとめてもらえずさびしいです 
ねがってきました 
じぶんのきもちをはなせるようになることです 
みんなとはなしがしたいです 
みんなとわ ××もうがっこうともだちです 
ずっとちいさいときからいっしょだったからわかりあいたい
ねがいでした ねがいわわかりあっていくことです

 幼稚部から中学2年まで、ずっと一緒に過ごしてきた3人の仲間のことだ。 
 
よいにんげんになりたいとおもいます 
ちいさいときからのねがいでした 
はい きこえます はい 

 ここで、彼の最大の謎のことについて質問した。それは、こういう文章を綴りながら、口では、暗唱した言葉を発したり、そのことで受け答えさえしているということだ。まるで2人の話し手がそこにいるようなのだ。このことについて彼が与えた答えは、

くちわ かってにうごいているだけです 

 そこで、学校のことについて何でもいいから書いてほしいと頼んでみた。すると、
 
がっこうでわゆきしろのはなしをしました 
(ゆきしろとは?)ゆきがやんだたんぼかきのこと

 そして今度は彼の方から質問が来た。

しばたせんせいはやいこのやりかたわどうやてかんがえたのですか

 この方法のことは、彼の知っている子どもたちと関係が深いので、そのことを簡単に説明した。

めずらしいやりかたです もっといろいろなひととやりたい
 
 ここで、援助者を私からたまたま見学に来ていた姪に代わった。すると 

ほんとになつた

と綴った。
 まだまだ、わからないことだらけの○○君だが、こうした関わり合いを通して、どうやったらもっと点字をすらすら読めるようになるか、数の学習をどうやったら進めていけるかなども、合わせて明らかにしていけたらと思う。

2009年4月14日 22時50分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩1 |
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