母の日に 初めての言葉
	
		
			| 学校に上がる前から研究所に通い、20代後半を迎えた男性○○さんと、初めてワープロで関わった。 そして、すぐに次のように書き始めた。
 
 うれしいきたいしていました いいすいっちですね
 じぶんのきもちがいいたかった
 じぶんがかんがえていることがすらすらかけてがっこうがあったらださせてほしかった だいがくです
 じぶんでじぶんのきもちがいいたかった いいきもちです
 じぶんのがっこうにいきたかった
 きいているだけではなくつたえられるがっこうです
 きいているだけではつまらない
 ちいさいときからはなしがしたかったです
 ちいさいときからじぶんのきもちがいいたかった
 おかあさんとおとうさんにはいつもかんしゃしています
 
 そして、話は、別の方向へと発展していく。どちらかと言えば明るい笑顔が特徴的な彼だが、秘められた美しい感性が少しずつ顔を出し始めてきた。
 
 きいてほしいことがあります
 いつだったか きいたことのないきれいなおんがくをきいて
 いくつもなみだをながしましたが
 にこというがっきだったかもしれません
 きいてかんどうしましました
 きいたのはてれびです
 がいこくのひとがひいていました
 いいおんがくでした
 きいてみたいです
 ちいさいころからきくのがすきでした
 がいこくにいってみたいです
 いいおんがくをきいてみたいです
 にほんのおんがくもすきです
 にほんのおんがくをあいしていますがなかなかきけません
 いいおんがくがききたいです
 
 かつて、あるレストランで生演奏を聴いてぽろぽろと泣き出したというエピソードを聞いたことがあったが、音楽に対する繊細な感受性がよく表れていた。そして、なんと、彼は、詩を聞いてほしいと語り始めたのだ。
 
 
 みたことのないようないいしをずっとかんがえてきましたきいてください
 
 そして書かれた詩は、彼が言うとおりのいい詩だった。
 
 ちいさなちいさなみどりのかぜが
 ちいさくちいさくねがいをかなえ
 ちいさなちいさなすずのねが
 ふしぎなねいろをかなでてきえた
 じぶんのゆめをかなえるために
 じぶんとかぜとしーはいる
 みどりのかぜにかかえられ
 じぶんはきぎのあいだをひしょうする
 ちいさないいじぶんにいいかぜをうけて
 みどりのいいかぜにちいさなゆめをかたらせる
 においのいいかぜがみどりになって
 はるのかいがんをかけぬけて
 どこまでもどこまでもじぶんがみどりのかぜとなり
 すばらしいせかいをかけめぐる
 かぜにのってちいさなじぶんは
 ききゅうのちいさなきぼうをさがし
 みどりのいいかぜをうけてちいさなねがいをちいさくかなえる。
 
 シーハイルとは、スキーでの挨拶の声ということだが、彼は、歌で知っていたらしい。
 
 しをかけてしじんになったきもちです
 じぶんのきもちがいえるとはおもわなかったのでかんげきしています
 
 ここで、私は、研究会にもよく参加して会場にいる彼だから、私のパソコンに関する発表を見ていたのかと尋ねた。すると答えは、以下の通りだった。
 
 はい
 ちいさなおんなのこのなくなったはなしでした
 いいことばでした
 いいかんざしをかってあげたいとおもいました
 ちいさいこがすきですからいいかんざしをかってあげたかった
 ちいさいおんなのこがちいさいうちになくなってかなしかったです
 ちいさいこどもがなくなるのはかなしいです
 
 4年前に亡くなった女の子のことだ。彼女は、私たちの常識を根本から覆し、仲間たちの言葉の存在を見いだすことにつながった。その存在をこうしてしっかりと受け止めていてくれたということに深く心をうたれた。
 そして、遅れてはいってきたお父さんに向けて、言葉が綴られる。
 
 おとうさんかていをかんがえてくださってありがとうございます
 からだにきをつけてください
 からだにきをつけてながいきしてください
 がんばりすぎないでください
 
 そして、感想が次のように綴られた。
 、
 いいまんぞくしたじかんでした
 かんげきです
 かんどうしました
 
 ここで、質問をしてみた。それは、形の弁別の学習に手こずっていることをめぐるもので、どうして、うまく選べないのかを尋ねてみた。すると答えは意外なものだった。
 
 てをうごかそうとするとみえなくなってしまいます
 ちいさいときからこまっていました
 でんちのときはみえます
 じぶんのおもいどおりにからだがうごかなくてこまっています
 
 字を覚えた時期については…
 
 ちいさいときにおぼえました
 おかあさんがおしえてくれました
 
 そして、再び、このことをきかっけに、家族の話へと発展した。
 
 ぎせいになってくれてかんしゃしています
 あいされてしあわせです
 いいかぞくです
 にいさんがなくなったのがざんねんでした
 
 病気で何円も前に亡くなったお兄さんのことだが、いつも、写真に向かって声を出して、話しかけているようだと、ご両親の説明がくわわった。
 
 きかせたかったかあさんにいいしをかあさんに
 きいてもらえてかんげきしています
 きいてくれてありがとうございます
 ひーりんぐのようなじかんでした
 きもちいいです
 ねがいがかなってうれしいです
 きいてくれてありがとうございます
 あらしのよるがあけたようなきもちです
 きいてくれてありがとうございます
 
 お父さんは、お母さんに、いい母の日のプレゼントになったねと告げられた。
 私たちもまた、心を洗われるひとときとなった。
 
 
 
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		2009年5月10日 23時13分
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