ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年05月20日(水)
イタリアでキリスト教の教会に行って祈りを…
 都内の特別支援学校で訪問教育を受けている○○君のスクーリングの日、学校におじゃました。前回、聞き取った「こゆびの歌」が担任の先生の手によって楽譜になっていた。
 聞いてほしいという彼からの希望があったので、担任の先生からピアノでメロディーを弾いた録音の音を聞かせてもらいながら、一緒に歌ってみた。気持ちが伝わってくる歌で、どこか、聖歌のような響きもする歌だった。
 
ぼくのこゆび あなたのこゆび あわせてみよう 
ねがいのひびく こゆび
ひとりのこゆびはちいさいけれど 
みんなのこゆびをつないでみよう
きっとおおきなねがいがかなう 
ゆめをみて きぼうをつないできた
ひらかれた こころで 
うつくしいかぜのようにふきわたり
どこまでものぞみをつづけて
よいにんげんとなることをねがいながら
すばらしいじんせいをいきていこう
こゆびとこゆびをあわせてどこまでも
ゆめがつながるように

 そして、気持ちをパソコンで綴っていただいた。

じぶんのきもちかよわせることがゆめでした
ねがいをよくきいていただいてうれしいです
ちいさいころからのゆめがかないのぞみがかなってとてもうれしいです
にんげんとしてみとめられたきぶんです
ゆめはみんなとふしぎなせかいにいってみたいです
ふしぎなせかいにはよきしらせがあふれていて
ねがいがかなえられるところです
ちいさいころからのぞんでいました
ゆめがかなったようなきもちです
ずっとまちのぞんでいました
ちいさいころからのゆめがかないとてもうれしいです

 ここで、ほかにいっぱいたまっている気持ちはないかと尋ねたところ、次のように展開していった。

かあさんにはいつもかんしゃしています
にんげんとしてよくみとめてもらえていつもいいかあさんだとおもっています
ひびのせいかつのなかでちいさなことでもきにかけてくれてありがたいです
ゆめはかあさんとがいこくにいくことです
ちいさいころからねがっていました
じつげんするといいなとおもいます

 ここで、そばにいた方々から、どこの国だろうという声が上がった。すると…

ねがいはとおいくにがいいです
いたりあできりすときょうのきょうかいにいって
いのりをききいれてもらえたらいいなとおもいます
にほんでもいいかもしれませんがにほんよりもねがいをきいてもらえそうです

 やはり、彼の心の中には、何か神聖な祈りのような思いが秘められているのはまちがいないようだ。「よきしらせ」という言葉もまた、そういう響きを持つものだろう。
 そして、どんな願いなのかを尋ねてみた。

ねがいはぼくたちすべてがたのまれなくてもきぼうにみちたじんせいをおくれるということです
ちいさいころからのゆめでした
じぶんとおなじようなきもちのひととはなしがしたいです

 そして、自分からしめくくるように、次の言葉が続いた。

きいてくれてありがとうございます
いいきもちです

 この後、担任の先生に手をふる方法をやっていただいた。すると、簡単な言葉は聞き取れていたそうだが、目の前で、するすると文章を読み取ることがおできになっていった。
 途中、ラ行を選んだあと、「ラリルレロ」でまったく反応がないというので、もしかしたらと思って、「今、何を考えていましたか」と私が尋ねて返事を聞き取ってみると、「先生ができたので、とてもうれしかった」と答えが返ってきた。感動で、反応できなかったのである。すると、今度は、先生がそのことに感動なさり、「鳥肌が立ちました」とおっしゃる。そして、本当に鳥肌が立っていたそうで、彼に、それをさわらせていた。
 すばらしいコミュニケーションの成立の瞬間だった。
 

2009年5月20日 01時01分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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