ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年07月13日(月)
ある研修会にて
 この4月から学校を卒業して地域の通所施設に通うようになったSさんだが、通所施設の職員の方々は、彼女の言葉の世界の存在をおかあさんから聞いて、何とかそのことを日常の関わりに生かそうとお考えになり、私に研修会で話して欲しいと依頼をなさってきた。
 大学の授業でもしっかりと話をしたSさんだから、ここは、彼女に直接話をしてもらおうと考えた。そして、さらに、とびたつ会のTさんにも、話をしていただくことにした。
 SさんとTさんは、2年前のわかばとそよ風のハーモニーコンサートのとのミュージカルで、Sさんが作った「野に咲く花のように」という歌を、Tさん自身の気持ちを歌にしたものという想定で演じたことがある。そして、今年は、ともに、同じステージに立った。
 Tさんは、眉毛の動きなどでコミュニケーションをとる方だが、昨年の10月、スピードがあがった私の方法で、次のような文章を書いていた。

 一人で苦しんできたことを言葉で語りたいと思う。本当の姿を知ってもらいたい。野に咲く花のようにの女の子にも出演してもらいたい。僕の気持ちにはそんな人たちのことがずっと気にかかっています。僕の気持ちしか表現していないので、ほかの人たちの気持ちも表現してもらいたい。過ぎたことを言っても仕方ないけど、未来に向かって僕たちの気持ちを伝えていく必要があると思う。願いはたくさんの人に理解してもらうことです。けっして負けられません。手を使って話せることを世の中の人に伝えたいと思う。理科してくれるまで訴え続けていきたいと思う。苦しみや悲しみを伝えていかなければいけないと思う。理解者を増やしていかなければいけないと思う。きっとわかってくれる人が現れると思うので、頑張りたい。(…)
この方法で話せる人がたくさんいるかもしれないと思うと胸がはりさけそうになる。僕はわかってもらっているからいい。でも、沢山の仲間が苦しんでいます。このことを伝えていかないといけないと思う。僕は負けない。


 そして、この思いを受けるようにして、わかそよでは、言葉を秘めていた方々の思いをテーマに、ミュージカルも合唱も進めたのだった。
 私から始めに、この方法をめぐる話をさせていただいたあと、二人に、30名を越える方々の前で、パソコンで、話をしていただいた。
 まず、Sさんの語りかけから。

 新しい可能性というものが小さく広がってきました。自信が出てきました。悩みも消えそうです。生きる希望がわいてきました。人間として認められてうれしいです。きじ住む未来の国が見えてきました。自分はきじが好きです。美のある国にきじといっしょに行きたいです。きじは希望の鳥ですから好きです。気持ちが言いたいと思ってきましたので願いがかなってうれしいです・残念ながら学校では疑問視されてしまいましたが、字の念じるのを読み取れるというのは本当です。人間として生まれて生きてきて願いをかなえたです。自分の人生だから自分らしく生きていきたいと思います・

 ついで、Tさんから。

 人間だから気持ちがあります。みんな言葉を理解していると思いますが人間として勇敢に生きていきたいと思います。Sさんはずっと言いたいことが言えなくて苦労してきましたがやっときもちを言えてよかった。そんな人がまだたくさんいると思いますのでみなさんよろしくおねがいします。自分は仲間の痛みよくわかりますから希望がわいてきました。敏感に理解してくれる人がひとりでも増えたらうれしいです。小さい時からの夢でした。人間として生きていく。人間としていきていきたいです

 他の施設の職員も含めた大勢の聴衆の前で、二人は、思いのたけを述べた。方法としては、決して簡単に本人がやっているようには見えにくいものだが、二人の真剣さは、これらがまさしく彼らの心の奥底からあふれ出たものであることを、如実に語っていた。この後、会場からいくつかの質問が出たが、可能な限り二人に直接答えていただいた。

2009年7月13日 23時37分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩1 / 青年学級 |
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