ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年06月22日(日)
土曜日の学習会から
 土曜日の学習会、また、いろいろな発見があった。
 ○○君は、もう、ずいぶん長いことこの会で学習を続けてきた少年。見ることにハンディがあるのか、ちらっとでも見ることができる時には、それなりの弁別をすることができるのだが、その回数が少なく、なかなか先に進めないということで、足踏みのような学習を続けてきた彼に、徐々に2スイッチワープロのソフトを導入してきて、先月、初めて自分から単語を綴ることができた(使ったスイッチは二つのプッシュスイッチである)。その言葉は「うれしい いきたいそと」というものだったが、それに続けて1週前の母の日のことを書いてもらったところ、「おかあさんありがとう」と書いて、お母さんをとても喜ばせるということがあった。
 それから、ひと月後の関わり合いで、彼は突然「くやしい」という言葉から気持ちを綴り始めた。せっかく文字を綴ることができたのだが、なかなかすぐには認められないことをめぐるものだった。そこで、私は、どうやって文字を覚えたかなど、教えてくれるとそれだけわかってもらいやすくなると思うと提案したところ、「こどものとき ともだちがべんきょうをしていたのをみておぼえた」と答えが返ってきた。そして「はやとくんがわかってくれたけどほかのひとはだれもわかってくれなかった」と続く。はやと君とは誰かとさらに尋ねると、「じぶんでつくったともだちです」と。孤独な心の世界が作り上げた想像上の友人がここにもいた。もちろん彼はまた、暖かい家族の愛情の中で生きてきたことも事実だ。「よくめんどうをみてくれてほんとうにかんしゃしています おとうさんもよくあそんでくれてすてきなかぞくです」と文章は結ばれた。
 △△君は、2スイッチワープロで文字を綴ることをずっとしてきたが、ここのところ、ずっとオートスキャン方式の1スイッチのワープロで文章を綴ることにチャレンジしてきた。なかなか手こずっていたが、いつか独力で文章を綴ることを夢見てである。その彼が、ようやくスムーズに文章が綴れるようになり始めた。そして、綴った文章は、「このあいだじっしゅうにいきました。うまくいってよかった。じんせいをいっしょにいきるなかまがいればうれしい。」というもの。実習先には、多くの先輩がいた。人生を一緒に生きる仲間を探す大人の世界への旅立ちがもうすぐそこに迫っているということだ。最初に出会った頃、童顔だった彼は、いつか、ひきしまった顔つきの青年になった。

2008年6月22日 01時21分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G多摩2 |
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