ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年08月10日(月)
小さい願いは願いのままに小さく空に消えた
4月の終わりに、一人の少年が亡くなった。高校1年生になったばかりだった。何度かこのブログでも紹介してきた少年だ(2009年2月25日、1月8日、2008年10月17日、8月22日、8月6日、6月18日)。愛育養護学校で小学生時代を過ごし、津守真先生をはじめとする先生方によって、心を豊かに育まれて来た少年だった。
 その時、彼の死のことをメールでやりとりした同じグループの高校2年○○君がいる。まず、その時の追悼文を紹介したい。

 ☆☆君へ

 綺麗な言葉で希望とか期待する気持ちとか聞いて主(自分のこと)と同じだと思いました。
 期待して希望捨てない生き方して叶うことしてきたのに、神(様)の近くに行きたい思ったから神(様)連れて行ったと思います。
 死ぬのはいつでもできるのに死なないで世の中の人失礼直して躾しないといけないのに希望言って死ぬのは、滝に打たれて生きていくことから逃れています言いたいけど、修行していつも頑張ったから「お上がりなさい」神(様)言って
頂いたと思います。
 死と向き合いながら生きて「ちくしょう」しない生き方して、☆☆君したいけど出来なかったこと主(自分)していつか行きますから待ってて下さい。
 聞いていたら「追って行くしないよ世の中の人躾したら行くよ」
 さようなら。


 お母さんが「あかさたな」と言いながら目などの反応で言葉を読み取っておられるのだが、できるだけ短い言い方をするために、独特の文体になっているが、彼の思いは、ひしひしと伝わってきた。
 夏休みになって、○○君とじかにお会いした。そして、亡くなった少年のことを偲ぶ詩を含めて、次のような文章を書いた。

 未来が開けていきそうですがなかなかうまくはいきません。危機になりそうです。
聞いてもらいたいことがあります。なぜ自分たちは気持ちを聞いてもらえないのでしょうか。人間として扱われていないような気がします。人間らしく生きたいと思います。理解してくれる人が必要です。敏感な人が少ないので困っています。理解してほしいです。よい方法ですね。理解してくれる人がほしいです。
書きたい詩があります。

小さい願いは願いのままに 
小さく空に消えた
未来の夢はなくなって 
美はよい昔の魔法のように
日常の中に消えた
天に逝った昔の友は
見たこともないミラクルを知らずに消えた
ぼくたちの的はつらい世の中だ
人間としての危機だということを世の中は知るべきだ
小さいいのちかもしれないが
未来は誰にも等しく開けている
小さく分相応に生きるのはやめて
敏感に頭を研ぎ澄ませ生きていこう
あしたは小さいみんなにも大きく開けているのだから

聞いてくれてありがとう。言いたいことが言えていい気分です。詩を小さいときから作ってきたのでだいぶたまってきました。自分の詩集が作りたいたいです。気持ちが言いたいです。身の回りを見回すとなかなか望み通りにいかないことが多いけど未来を信じて生きたい。自分の体は勇気を必要としていますが新しい時代を切り拓くためには度に出る必要があります。まして敏感な人を探して小さいときからがんばってきましたがなかなかみつかりません。


 神様や愛について語り続けた☆☆君と、常に現実に立ち向かおうとする○○君と、タイプは違っていたが、深いところでつながりあっていた。詩の中に登場する「見たこともないミラクル」とは、彼らの言葉が当たり前に理解される時代が来るということだろう。☆☆君には間に合わなかった「ミラクル」の時代の到来を、座して待つのではなく、果敢に戦いながら、ともに切り拓いていきたい。
 
 


2009年8月10日 16時01分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G23区2 |
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