学生たちと声を合わせて〜「ぬいぐるみの歌」と「未来の夢」
11月のある日、20代前半の☆☆さんをたまプラーザキャンパスにお招きした。6月に引き続いて2度目だ。今回は、☆☆さんのことを以前から取材している音楽療法の雑誌の編集者の方もご一緒だった。
歌が大好きな☆☆さんだから、必ずや歌を作っているにちがいないと思ったので、今回の日程を打ち合わせる時のメールに、歌を聞き取りたい旨を書かせていただいておいた。
最初、少し、手をふる方法で話して、彼女のパソコンを開いていただいた。彼女のご両親はスイッチの介助がおできになるので、毎日日記を書いているパソコンである。
感激です。いい気持ちでした。明るい光がさしてきました。人間として小さく夢を紡いできましたが、ようやくかないました。
勇気がほしいです。
願いは私のもっと私らしさを表現したいです。未来が開けてきました。いい気持ちです。
ずきんとするような痛みを感じることもありますが、それも乗り越えていくことができそうです。ぬいぐるみのような生活にもお別れです。人間として認められてうれしいです。小さいときからの夢でした。
そこで、歌のことに話題を向けた、するとさっそく、歌詞が書かれた。題は「ぬいぐるみの歌」。
小さいぬいぐるみ なぜ泣くのだろう
きのうの悲しい思いかしら
泣くのはやめて みんなも同じ
ひとりぼっちのさびしさに
ろうそくをともして生きている
小さいぬいぐるみ なぜ泣くのだろう
人生はもっと輝いているよ
そして、手を振りながら「ドレミファソラシド」と言いながら、ひとつずつ音をひろっていった。☆☆さんは、この方法は初めてで、驚いた様子ともに、こみあげるような笑いを浮かべながら、メロディをつたえてきた。
そして、歌を伝え終わると、次のような感想をくれた。
信じられません。歌を聞きとれるとは思いませんでした。小さい頃から気持ちをしずめるために歌を歌っていました。理解してくれてうれしいです。未来が開けてきました。うれしいです。
そこで、私はよくばって、まだほかの歌はありますかと尋ねると、
もっとありますが聞いてもらえますか。
そして、「未来の夢」という歌が書かれた。
人間として生まれて生きてきて
私は夢をかなえたい
未来の夢は願いの理想
光の中で光り輝き
太陽のように 遠くをてらす
私の私らしさを願いながら
私は私の理想を紡ぐ
そんな時、数名の学生たちが授業を終えて入ってきた。6月にも☆☆さんと会った学生たちだ。
☆☆さんとしばらく語りあっているあいだに、音楽に造詣の深い編集者の方にお願いして楽譜にしていたいたので、研究室においてあるギターの伴奏で、歌ってみることにした。
☆☆さんの心の中で静かになりひびいていた歌が、同世代の若者の歌声によって部屋中にひびきわたった。すばらしい瞬間だった。
☆☆さんも、本当に喜んでくださった。
後日、女子学生が☆☆さんの歌について語りにやってきた。「ぬいぐるみの歌」は、やっぱり、自分のことなんですよねと言いながら。歌を通じて、☆☆さんの思いは、深く伝わった。
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2009年12月12日 02時38分
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