ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

»くわしく見る
2010年10月13日(水)
詩「すね」
 20代の女性☆☆さんは、とてもおもしろい詩を考えてきた。それは、すねという題だった。なかなかふだん私たちは気にもとめない詩を☆☆さんがどんなふうにとらえたか…。


  すね

すばらしいわたしのすねよ
すらりとのびたわたしのすねよ
わたしはあるくことができないから
ぼんようなりそうしかできないけれど
みんなとはちがって
ほんとうのすねのいみをしっている
ちいさいころからほんとうにすねは
わたしをささえてくれた
りそうのろうそくをともしながら
わたしはすねをたいせつにいきてきた
からだのなかではだれもちゅうもくすることもなく
わすれられたそんざいだけど
ならくのそこにおちないように
いつもわたしをでられないわなからすくいだしてくれた
わたしをりそうにむけて
いつもたちなおらせてくれた
べつによいみんなとちがっているわけではないけれど
よいみらいにむけてわたしをふるいたたせてほしい
またよるのさびしさがわたしをおそうとき
ぼうけんのゆめをきかせてほしい
ろうそくのあかりをわたしはのぞみ
ろうそくのあかりをわたしは
むかしのわたしのわたしらしさにさがす
りそうのぜんたいをたのむのではなく
りそうのいちぶとしたので
かえってわたしをそらいっぱいにたびだたせることができる
にんげんとしてこのせかいにうまれ
にんげんとしていきてきたけれど
それをしっていたのはすねのみだった
ぼくのゆめわたしのゆめはすねのゆめ
にんげんとしてほんとうのねがいをかなえるために
わかってほしいすねのきもちを
すねこそさいこうのりかいしゃだ

 心にしみわたる、すねの詩だった。


2010年10月13日 00時06分 | 記事へ |
| 研究所 |