ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2010年10月24日(日)
中島先生は僕たちの最大の理解者でした
 幼いころから研究所に通ってきたKさんと数ヶ月ぶりにゆっくりと話をした。家から遠くないところの施設に入所するということがあって、しばらく忙しかったからだ。

 地域で生きていきたかったけど施設に入ってしまいましたがまあまあです。みんないい人なので勇気づけられます。
 人間として自分の気持ちを言いたいのでぼくもわかってもらいたいです。小さいときから僕もわかっていたので勇気づけられます。
人間だから気持ちがあります私たちのことをもっと理解してもらいたいです。私たちのことがなかなか理解してもらいたいです。
 形の勉強は難しいですがなかなか先生の言うことに手が着いていかないからです。手がついていかないだけでほかのことはよくわかっています。理解していただいてありがとうございます。
 私たちは手がコントロールできないので困っています。手をとってもらえると簡単にコントロールできます。不思議でしょうが全然変わります。小さいときから困っていました。わかってもらえてうれしいです。

 なぜ背中でもわかるのですか。不思議ですが僕の言葉なので信じないわけには生きません。そうですね。ここだと思うと読み取られるので不思議ですがいい気持ちです。何も力を入れていないのにマジックみたいです。(この日は、背中にスイッチを押しつけたり離したりする方法の方がお互いに楽なので、その方法で行ったのだが、そのことについてのコメントである。)

 詩を聞いてください。

悔しさに負けないでいこう
なぜならぼくにはあしたがあるから
夏の遠い白い雲の思い出がぼくを支えてくれるから
自分でレッドの夕焼けに理想の未来を夢見ながら
涙をふいて人間としての心を大切に
平和な世界を平和の鳩とともに夢見ながら
小さいころの願いを誇りにして
悶々とした気持ちは過去に置き
未来とあしたを大切に
よいどんな私たちの誇りをなくすことのないように
忘れてはいけない私たちもまた人間であることを
人生に負けないように私たちらしさを大事に歩いて行こう

私たちを望み通りに冒険できるようにしていこう


(つばをはいてしまうことについて)すみません、つばをはいて。わかってくれない先生にもたれたときに始まったものです。みんなつらかったと思います。その時に始まりました。ランプの光が消えそうでした。小さいころから言われてとてもつらかったです。小さいころは何でも投げると言われていました。学校の話です。別に研究所のことではありません。

 そして、ここで研究所を作られた中島昭美先生の話になっていった。先生が亡くなられて来年の2月で10年になる。Kさんは、亡くなられる直前、通所しているお子さんとしては、最後に先生に会った方だ。

 中島先生は僕たちの最大の理解者でした。全国大会の先生の話はそうだそうだと思って聞いていましたからよく覚えています。理解してもらえてうれしかったです。はい覚えています。どうして忘れられるでしょうか。先生の最後の姿ですから忘れられません。小さいときから先生にはとてもかわいがってもらいましたから。僕なんかが本当に人間として認めてもらえたのは中島先生がいたからです。人間として認めてもらえたので僕たちは勇気が出ました。みんなも同じでしょう。Nさんはいつも全国大会で先生の話が盛り上がると声を出していました。そんなこともいい思い出です。理解してもらえてとてもうれしかったのでずっとこれからも忘れることはありません。中島先生とともに歩んできた先生たちにどうか僕たちの言葉を信じてもらいたいです。もう理解してもらえましたか。瑠璃色の風を吹かせてください。理想的な方法ですからのどから手が出るほどほしい人がいるはずですからもっと広めてください。がんばりたいです。
 歌は僕たちの心の声ですから僕たちはみんな歌を作っていますがまさか聞いてもらえるとは思いませんでした。ほんとうにうれしかったです。ばらの花が咲き乱れている森の中を歩いているようでした。不思議です。まさか歌まで読み取れるとは思いませんでした。夢のようでした。


 私は、重複障害教育研究会の全国大会に参加していたKさんやNさんが、確かに先生の講演に集中していたことをよく覚えている。先日もNさんにとそんな話になり、あらためて驚かされたところだった。
 もう40歳を過ぎたNさんはその時、言葉を越えるものがあると言っていた。
 本当に相手を人間として大切にするということの意味をあらためて考えさせられた一日となった。


2010年10月24日 02時07分 | 記事へ |
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