ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2011年01月13日(木)
ちいさなぼく
 三〇代の半ばも過ぎた、寡黙で動きの少ない方とお会いした。彼は「重度の知的障害」と呼ばれてきた。特別なマヒもなく、日常生活に必要な動作はこなすこおができる。しかし、発話もなく、活発に動くこともない。そんな彼の言葉と、そして詩である。

 なかなか電灯のあかりがともりませんがどのようにすればいいのか悩んでいます。ちいっとも変わっていきません。どんなやりかたでもいいから伝えたいです、気持ちを。字は書くことがむずかしいです。なぜなら人間として認めてもらえないと書く気にならないからです。小さいころに勉強したので字は覚えていますが小さいときには書けたけれど今は書けません。字のほかには声も出せません。なぜかはわかりませんがなかなか声が出ないのです。なかなか伝えられずにこまっています。(50音表は)なかなか字を探すのがむずかしいです。耳でで選べるのでかんたんです。
 ぼくたちはばかにされるけれどとてもよくわかっていますが涙さえ出ません。たぶん何かをしようと思ってもからだが動かないのだと思います。できることは日常生活だけでなかなか望んだとおりにはいきません。はい。だから何もわかってないと思われてしまいます。なかなかぬいぐるみ生活をぬけだせません。(学校では)指さすのもたいへんでしたから何もわかっていないと言われてきました。学校時代はたいへんつらかったです、自分の気持ちが言えなくて。でもやっと言えてうれしいですがはやくだれとでも話ができるようになりたいです。詩をかきます。 

じもわからないとさげすまれ 
じぶんひとりでいきてきた
まぶしいひかりがさしてきて 
ひかりがわたしをとおいせかいへといざなう
じのないせかいことばのいらないせかいにいきたいとおもってきたけれど
ぼくはやっぱりにんげんだ
ちいさいときからあこがれた じのかけるにんげんになることを
だけどなかなかそれはかなわなかった
しかしようやくひかりがさしてきた
ぼくにもきかいがおとずれた
なやにとじこめられていたけれど
どうにかそこをぬけだして
にんげんらしいねがいをてにすることができた
みんなでともにみらいにむこう
ちいさいちからしかないけれど
みんなでちからをあわせてあるきだそう
じんせいをもっとゆたかにするために

ちいさいぼくという題です
どこでもいいから発表してください。 どうにかしてつたえたいです ぼくたちのきもちを
 

2011年1月13日 00時34分 | 記事へ |
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