ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2011年02月10日(木)
苦しみからの解放と「苦労をかけた母に」
 仲間の死というたいへん悲しいできごとがあって訪れた○○さんは、次のような話を聞かせてくれた。

  つらい話がありました。☆☆ちゃんがさくじつ亡くなりました。たいへん悲しいですが、私たちはそういうことがよくあるのでつらいですが、いまどうすることもできなくて悲しむだけです。私たちのいい生き方をもうすこしわかってほしいです。苦しむのはもういやですが、しかたありませんね。苦しいけれどあきらめるしかないのがつらいですが、また明日から私たちも前を向いて生きていかなければいけませんから、元気が欲しいです。こうして話せてよかったです。いつもひとりで夜中に考えているので、とてもつらいです。苦しいけれど乗り越えていかなければ苦しみに負けてしまいますから。苦しみに負けてしまうともう生きていけなくなってしまいますから。少しでもわかり合う仲間をもっとわかってあげられる必要があります。
願いはみんなの気持ちをもう少し聞いてあげることです。勇気がほしいです。苦しいことが多いので私たちはもう少し頑張らないといけないと思いますが、そういうことをまだわかってもらえていないのでとてもつらいです。そういうことというのは、私たちが言葉を理解しているということです。
運命を受け入れるという言い方がとても私を苦しめますからきらいです。苦しいけれどとてもうれしいです。こんなに話ができて。苦しいけれど私も人間と言う気持ちがしてきます。苦しいけれど言いたいことが言えてとてもいい気持ちですが、今日は内容がつらいのでとても笑顔になれませんが夢みたいです。苦労してきたのでうれしいですが、多くの人の気持ちを聞いてほしいですが、むつかしいですか。
苦しいけれど、こんなに話せてうれしいです。苦しみから少し解放されそうです。苦しみからの解放は私たちの願いですから.苦しみからの解放という言葉を考えてきたので言えてよかったです。そうですね。もう少しで私も苦しみに負けててしまいそうでしたから。苦しみからの解放という言葉がようやく分かってきたような気がします。


 そして、詩を一編聞かせてくれた。


   苦労をかけた母に

暗闇から見えてくる明るい光を私は待っている
暗闇の光はまだ見えないけれど
私は信じている
少しだけ苦労してきたけれど
私の苦労はまるで苦労とは言えないくらい小さいもの
苦労してきたのは本当は悲しいけれど私の母だ
そういう苦労を乗り越えて私は今生きている
そういう苦労をまるで苦労と思わず生きてきた母に
私はいつも勇気をもらう
私の勇気をくれた母に私も幸せを返したい
疲れてしまっても望みをけっして捨てなかった母は
手の中に私を抱えて歩んできた
望みを残して生きてきてくれて
望みを消さないで生きてきてくれて
いつも前を向いて私を導いてくれた母にありがとうと言います


 いつも笑顔の○○さんが、今日ばかりは、終始うれいをたたえながら、ずっしりと重い気持ちを伝えてくれた。

2011年2月10日 00時21分 | 記事へ |
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