ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2011年04月02日(土)
震災をめぐる思い
 この3月に学校を卒業して社会人になる○○君も震災について語った。

いい季節なのに悲しいことがみんなをおそってしまったのでとてもつらいです。人間の小ささを思い知らされるできごとでした。何万人もの人が亡くなってしまって行方不明の人も大勢いてぼくらのような障害者はいったいどうしているのかと番組を見るたびもらい泣きしています。わずかな希望はよい人々が何千万もいて本心から心配しているということです。日本中の人が力を合わせれば、きっとがんばってまた元気な日本にもどれることでしょう。未来のみんなはそのことをきっとごまかさずに美談として語るにちがいありませんがそのときこそ勉強してほしいのはぼくたは 黙ったままでずっと生きてきたのでぼくたちのことにも目を向けてほしいということです。ぼくたちも災害で孤立したような存在だから何とかして世の中に認めさせたいです。犠牲者の数は少ないけれど失われた命は同じですからそのことにも目を向けてほしいです。みんな電気で困っていると言っているけれど電気ぐらい大したことではないと思います。なぜなら電気で伝えられなくなるのは電話ぐらいですがぼくたちは電気があろうとなかろうと伝えるすべがないのですから。なろうとしてなったわけではないけれどぼくたちはその状況をしっかり引き受けながら生きていますから被災者の人にもぜひ状況を引き受けてがんばってほしいです。

 自分たちの障害と重ね合わせながら、思いをめぐらせていることがひしひしと伝わってきた。
 また、中学部の☆☆さんも、地震のことについて述べた。

 言いたいことがあるので聞いてください。人間というのがとても大きい自然の前ではたいへん無力なものだということがわかりました。人間というものはとても小さなものなのだということがわかりました。私たちはこんな体だからいつもそのことを思い知らされていますが勇気づけられるのは全国の人たちが沈痛な思いを共有して祈りを捧げていることです。自分のことばかり普段は考えていても人間はいざとなるとすごいと思いました。みんながこの災害についてどう考えているのか知りたいです。私たちのような存在だからわかることがあるということを仲間どうしで話し合いたいです。理想は仲間どうしで会話することですがなかなかむずかしいですね。人間として願いを持って生きたいけれど私たちにはなかなかそのチャンスがめぐってきません。だからとても悲しいです。疑問ですが夢のデトロイトという映画はありますか。夢に出てきたような気がしますがよくわかりません。みんなで植えた花にも七色の花が咲くというイメージです。小さいときからほんとうの理想を探してきたのでやっと泣き虫を克服したのに少しずつ人間として夢を取り戻せそうだったのにどうして理想通りにいかないのでしょうか。悩みはつきません。泣き虫を克服したのに今度の地震でまた泣き虫になってしまいました。そうです。花が咲き誇る夢の未来のイメージです。何となくというよりデトロイトという言葉のイメージが好きだったからです。そうですか。名前がすてきでした。

 デトロイトにこめられた意味はよくわからなかったが、後で調べてみると、デトロイトは美しい街らしい。昔、自動車の工業のさかんな都士とだけ暗記した知識とはちがう知識を彼女は持っていたのかもしれない。この悲しいできごとのその先を懸命に見つめようとして生まれた言葉であることはまちがいない。


2011年4月2日 12時12分 | 記事へ |
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