ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2011年08月14日(日)
東日本大震災に思う 8月13日 小さい象はなぜ泣くの
 1月にお会いした中学生の○○君と久しぶりにお会いした。そこで、彼は、いきなり次の詩を綴った。

  小さい象はなぜ泣くの

立春の近づいたある冬の朝のこと
何一つ見えない道の上に
不思議な象が立っていた
小さな象は道を遠く見つめて
雪に染まった野原に向かって
理想の声で勇気を出して叫び声を上げた
敏感な象の耳には
「なるべくなら頑張って理想をかなえるように」と
「わざわざ森の奥から出てきたのだから」と声が聞こえた
なぜだろう
象にはやがて来る大きな災難が見えていた
唯一の救いは必ず人々は立ち上がるだろうということだ
涙を流しながら
象は自分のよい願いをがむしゃらに投げ出して
場末のわずかな花のつぼみに息を吹きかけた
「夢にまで見た花よ
今年の春はとても悲しい春になるだろう
だから花よ今年は涙を隠すように心を込めて咲いてくれ
がんばって咲けば花に人々の悲しみは癒されるだろう
夏になればまた青い空が力を人に与えるだろう
だからどうか美しく咲いてくれ」
そういって象は静かに涙を流して
ゆっくりと野原の彼方に消えていった


 連日の猛暑の中、突然立春のことから始まった詩は、大震災の話につながっていった。
 ○○君はさらに次のように続けた。

 この間からずっと地震のことを考えていました。ばかばかしい話ばかりが聞こえてくるようになったので僕はとても嘆いていました。ぶつぶつ言ってばかりいる世の中に本当の大切なことを伝えたかったので詩を考えました。忍耐が大切だということは僕たちがよくよく証明してきたことなのでどうしてそのいい自分たちの経験が役に立たないのかと考えていました。唯一の救いは希望があれば人は必ず立ち上がれるということです。悩みは尽きなくても必ず希望は訪れるということを伝えたかったです。よいやり方ですね。わかってもらえてうれしかったです。



2011年8月14日 08時03分 | 記事へ |
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