ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2012年02月23日(木)
僕の障害について 社会人になるにあたって
 3月に高等部を卒業し、新しく通う通所施設も決まった○○君は、高揚した気分の中で、力強い言葉を綴っていった。

 みんな悩んでばかりなので理解してもらいたいです。私たちはみんなで私の我慢を世の中に伝えていきたいです。みんながまんばかりして生きてきたのでそれをもっと世の中の人に伝えたいです。なぜなのかわからないのですが勇気が湧いてきました。

 ここで、新しい場所で彼のことをどうやってわかってもらうかということについて私が切り出し、スイッチの援助については、○○君が、手を触られたくないので、手以外の場所にスイッチを押しつけていく方法で読みとらなければならないので、むずかしい方だが、○○君の援助ができれば、ほとんどの人の援助が可能だということを語り、○○君と初めて文字が書けた頃のことを話した。○○君は、一人でスイッチを押せるが、一人だと連打してしまい、なかなか止められなくなる。そこで、ある時、彼の手をとって、こちらが主導的に動かしながら一緒にスイッチを押していったのである。すると、選びたいところ力が入って選択の意志が伝わってきたのである。それを受けてこう書いた。

 僕は触られるのがいやなのでやりにくいというわけですが僕ができれば誰でもできるということですね。がんばってきましたね。文字の勉強も頑張ってやりましたが本当はわかっていましたが誰にも伝えられなかっただけでした。先生だけでしたね、僕が文字がわかっているはずだということを信じていたのは。とてもうれしかったのですがうまく選べなくていらいらすることも多かったです。駄目かなと諦めかけていましたが先生が僕の手を動かしたときはびっくりしました。まさかそうすると選べるとは思ってもみなかったからです。それが選べたので本当にうれしかったです。

 こういう風に書いている間も、彼は、座っていられなくなって、何度も席を立ち上がって一歩きし、落ち着くと戻ってくる。ふと、彼に、今度の施設の職員に自分のことをわかってもらうための障害に関する自己紹介を書いたらどうかと提案した。そうしてできたのが、次の文章だ。

  僕の障害について

 僕の障害はなかなか思い通りに見たり書いたりできないことです。見ようとすると見えなくなったり手を伸ばしたくなくても手が出たり何にでも手を伸ばしたりしてしまうので誤解されてばかりです。
 こだわりとはそういういらだちを鎮めるためのもので、もし理解され続けていればなかったはずですがそれはもうどうしようもありません。だけどじぶんのことをわかってくれさえすればわずかずつでも消えるはずです。
 よいわかりかたさえしてもらえれば本当はこだわりなど生まれなかったはずですからこれから小さい子たちにはこだわりの少ない育て方をしてほしいです。
 敏感さも障害の一つです。触られるだけでびっくりしたり小さい音にでも驚いたりするのでとても困っていますが理解されさえすれば大丈夫です。
 だからそういう風に理解してください。わかってほしいのでよろしくお願いします。
 どうにもならない苦しみの中で生きている仲間がたくさんいるのでよろしくお願いします。
 誰が見てもわかるわけではないかもしれませんが僕のことを知りたいと思う人にはわかってもらいたいです。
 なぜ僕たちが何もわかっていないと言われてきたのかがこれでわかってもらえたでしょうか。なかなかうまく理解されてこなかったけれど僕たちにもようやく日が当たってきました。


 私たちが、その理由がわからないまま、まちがった理解をしてきてしまったいくつかの事柄がここにある。特にこだわりなど、私たちの誤解が作り出したものとさえ言えるのである。「小さい子たちにはこだわりのない育て方をしてほしい」という言葉がつきささってくるとともに、私たちがなすべきこともまた見えてきた。


2012年2月23日 00時30分 | 記事へ |
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