関わり合いの場から
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プロフィール
ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。
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2012年08月04日(土)
障害者が障害児を産むことこそ人生の最大の幸せだ
今年社会人になった廣瀬岳さんの文章を紹介します。岳さんのお母さんには私はお会いしたことがありません。いわゆる中途障害を抱えた方だったとうかがいましたが、私が岳さんにお会いした時には、すでに亡くなられていました。小さい時からたくさん話しかけてくれた母に、この姿を見せたかったと何度も表現してきた岳さんですが、今回はまたお母さんのことをめぐって、大変深い言葉が書かれました。
まずは、4月から通い始めた通所施設のことです。
ごんごんと喜びが湧いてきます。僕は作業所ではとてもかわいがられています。どうしてかというと僕が言葉をすべて理解しているということを職員のみんなが理解してくれているからです。誰でも気持ちを持っているという主張が受け止められているのでとてもいい施設です。並ぶところのない施設です。私たちにとってそういう見方をしてくれるかどうかが問題なので、ぜひ何とかしてこのやり方を伝えてもらいたいと思っています。
そして、母さんの話に移りました。
ところで母さんに伝えたかったことがあります。それは僕が障害を持ったことについて色々言う人がいたけれど、僕が障害があったことはとてもよかったと僕は思っています。なぜなら人間として障害を抱えながら生きていくということはとても大変なこともあるけれど幸せなこともたくさんあるということを知っているので、僕は母さんとそのことを親子で証明できるからです。母さんの障害は後天的なものだったのですが僕が生まれたことでいっそう障害についての認識が深まったと言ってくれました。長いこと悩んだそうですが改めて障害について見つめ直して障害者が障害児を産むことこそ人生の最大の幸せだというように思ったみたいでそのことを僕に言っていました。ずっと忘れられない一言です。人生最大の幸せとまで言われて僕はとてもうれしかったです。
めったに出会うことのない考えですが、つい半月ほど前に、両親に障害のある田所弘二さんからも同じような考えを聞いたばかりだったので、そのことを思い出していたところ、岳さんから次のように返されました。
存分に話せてうれしいですが先生は何か知っているのですか。
私の反応で、何か知っているらしいことはすぐにわかるのだそうです。そこで、「自分たちは新しい家族のかたちだ」と言い切った田所さんのことを説明しました。
そんな人もいるのですね。とてもうれしいです。ずっと誰にも言えずに過ごしてきましたがそこまでわかっている仲間がいると力強いです。うちにはどうしてもそのことがあって人にはわかってもらえないところがあるのですが言えてよかったです。そうですね。それを話した人は初めてですね。先生は不思議な人ですね。存分に話せてうれしいです。さっきの人にも会いたいな。よろしく伝えてください。よろしくお願いします。僕の名前も伝えてください。
岳さんの思索のいっそうの深まりを今後も期待したいと思います。
2012年8月4日 08時04分 |
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