関わり合いの場から
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プロフィール
ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。
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2014年01月28日(火)
風疹をめぐる議論について
風疹が原因と思われる障害のある20代の男性とご両親にお会いしました。先日、昨年風疹で障害児が生まれた障害児が31人に上るとの報道がありましたが、お母さんはこの記事をため息をつきながらご覧になったとのことでした。お母さんは、息子さんが妊娠中に風疹に感染し、障害の可能性を医師に告げられましたが、宿っている命を消したくないと考え、生むことを決断されました。そして、生まれて障害があることがわかった時、この子を幸せにしてみせると心に決めたそうです。
息子さんには確かに「重い」と言われる障害があり、気持ちを言葉で表現したのは、この日が初めてですが、両親に感謝していること、母の決断を誇りに思うこと、母の願った通りに幸せに生きていると語りました。
それでは、お母さんのため息は何だったのでしょうか。それは、31人のお母さんと子どもたちのことです。このお母さんのようにあえて生むことを決断した方もいるだろうし、生まれた子どもたちは豊かな可能性を秘めた一人の人間のはずでしょう。しかし、ニュースはまるでそんなことにはふれることもなく、生まれてきたのは間違いだったかのように語る。どんな思いで、この31人のお母さんは報道に接したのか、そうした思いが深いため息につながったとのことでした。
こうした報道を見る限りにおいて、社会はこの母親たちを祝福する視点を持ち合わせていないし、この子どもたちを同じ人間として社会に招き入れようとする視点を持ち合わせているようには見えません。これに昨今の出生診断をめぐる社会の風潮を重ねれば、社会はいつのまにか障害者は生まれてこない方がよいという考えや、同じ人間としては認めていないという考えに染め上げられてしまったということが、明らかではないでしょうか。
また、この日の翌日、町田市の障害者青年学級でも、同様の議論がありました。そこでは、ある自閉症と言われる方が、出生前診断の議論では、生まれる前の命と生まれた後の命を区別して議論しているということが言われていたけれど、風疹のことをめぐる報道で問題になっているのは生まれた命のことなのに、まったく出生前診断の時と同じように生まれてこないほうがよいというような論調なのは、実は、出生前診断の時の議論がいかに偽りだったかがわかるとの意見が出されていました。
2014年1月28日 09時03分 |
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