コミュニケーション障害としての重症心身障害
小松美彦という生命倫理の研究者が、医学的な「植物状態」を「コミュニケーション障害」の可能性が高いと明言する文章に出会った。その言い切り方は、その考えに近いものを感じている私にとっても、そこまで言っていいのかと驚きを覚えるものだった。しかし、その直後、この「植物状態」というところに「重症心身障害」を入れかえられると気づいて、強い支えをもらった気がした。もちろん私たちが出会っている人たちは、決して「植物状態」ではない。しかし、多くの常識が、重症心身障害という状況がコミュニケーション能力の不在を前提としているという意味では、事態は似通っている。なお、コミュニケーション障害とは、梅津八三先生が「相互障害状況」言ったことと共通するもので、私とあなたとの間に存在する「障害状況」を個人の能力に帰するのではなく、通じ合えないという関係が損なわれているとするものだ。
重症心身障害という状況がコミュニケーション障害にすぎないことを示す事実は私たちの前にたくさん存在している。それは、現在の医学や心理学、教育や社会福祉の常識に反するものだ。しかし、いつか、重症心身障害と呼ばれる状況が「コミュニケーション障害」に過ぎないという認識が現在の常識に取って代わる日は遠くないはずだ。
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2008年5月20日 11時52分
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