ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年09月07日(日)
「いつかうちをでるひがくるときには…」 高3の少女の思い
 2003年秋から、パソコンで少しずつ文章を書くようになり、ほどなく、お母さんと家でも綴れるようになった☆☆さん。私たちとの関わり合いの場では、この2年ほどは、必ず、○○君とパソコンで会話をしてきた。何よりも二人はこの会話を楽しみにしていたので、二人に任せて、いつのまにか時間が流れてきた。
 だが、半年くらい前からだろうか、あまり、家でパソコンを開くことを喜ばなくなってきたとお母さんがおっしゃり始めた。たいていのことならば通じるし、わざわざ言葉でなくてもということらしいとお母さんはおっしゃった。
 高等部3年を迎え、いよいよ学校生活も残り少なくなってきて、きっと様々な思いをかかえているのだろうにと、二人のやりとりを見ながら、なかなか彼女の世界に踏み込んでいけなかったというのが実際だ。
 7月、この関わりの会で、小さな研修会を開き、みんなが通っている養護学校の大先輩の話を聞くことができた。もう40を過ぎた先輩は、卒業してからの様々なドラマを語ってくれたが、それは、少なからず、☆☆さんに影響を与えるに違いないと思っていたが、そのことをきっかけに、少しずつ彼女は家でもパソコンに向かう時間が増えてきた。
 そして、次のような彼女の思いが表現された文章が、ファックスで届けられた。
 
「私、いろんな人と関わって豊かに生きたい。からだがきついときもあるけれどわたしらしくいきたい!」(これは2月1日)
「◇◇さん(大先輩)のように、がんばって夢をかなえよう。」(8月1日)
「私の夢はみんなと旅行に行ったり、なんでもないことで笑いあっていたい!!▽▽では、メンバーの人たちとたくさんおしゃべりしたい。××ではいろんな人に元気と笑顔をたくさんわけてあげたいと思う!」(8月6日)

 そして、今日、○○君との会話の合間に、速く綴れる方法として、最近私がやっている方法を紹介した。何か、気持ちを引き出せるのではないかと考えたからである。
 まず、この方法への感想については、
「このほうほうをやってみたい どうしてわかるの じぶんでかんがえただけで じがかけるのがすごい ふしぎなきもちです」
と書き、あとは思いを一気に綴った。
「ねがいはがっこうのせんせいにわかってもらうことです どうでもいいようなことはりかいしてもらえるけどほんとうにだいじなことはわかってもらえない (だいじなこととは)じぶんのゆめやたいせつなきもちです ただのうけみのじんせいはいやです ふこうにおもっているわけではないけどちゃんとしたじんせいをいきたい うちではだいじにされてしあわせだけど いつかうちをでるひがくるときにはつねにまえをむきいきていきたい」
 社会人になる日が少しずつ近づいていく中で、やはり懸命に、彼女は自分の人生と向かい合おうしていた。しっかりと彼女の思いに向かい合っていかなければならないことを、改めて感じた。

2008年9月7日 00時33分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G埼玉1 |
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