青年学級にて
8月の夏休みがあって、町田の青年学級が再び始まった。夏前にパソコンで綴れるようになった二人のことが大変きにかかっていた。7月の1回目の学級日に初めてパソコンが成功したのだが、2回目は私が休まざるを得なかったので、その日は綴れず、9月を迎えたわけだが、女性の方は、残念ながら入院のためお休みだった。
私と同じコースの男性とは、活動が始まるとさっそくパソコンを開いた。活動は、まず、見学の方がいるので自己紹介を含めながら、夏のできごとを語るということで始まった。みんながそれぞれ、話していくのを聞きながら、パソコンでどんどん文章を綴っていった。
つまらなかったこのまえのがっきゅうびは
しばたさんがいなかったのでなにもはなせなかった
くやしかった
このすいっちをだれでもできるようにして
そしてだれとでもはなせるようになりたい
まったくもっともな話だ。だれとでも話せるようになった時、本当に彼のコミュニケーションの障害は取り払われる。
十分その気持ちを受け止めた上で、夏はどうしていたかを尋ねた。すると次のような答え。
ずっといえにいておりんぴっくをみていました
すいえいのきたじまこうすけせんしゅがすばらしかったです
くやしかったのはやきゅうです
せっかくぜいたくなせんしゅをあつめたのに。
自己紹介もお願いした。
ぼくは○○○○○○○です
わさびだりょういくえんでしごとをしています
すいっちではなせるようになってむかしのじぶんとはまったくかわりました
つねにみんなのあとからしかさんかできなかったけど
これからはさきにたってがんばりたいとおもいます
がんばりたいけどのけものにしないでください
つきにかいしかあえないのでざんねんです
初めて彼自身の言葉で表現された自己紹介である。この辺まで綴ったところで、彼自身に順番がまわってきたので、自己紹介と夏の出来事とを音声読み上げソフトで読み上げた。仲間たちも彼自身の言葉による報告を、心から喜んでいた。
さらに、コースで作ろうとしている歌の歌詞のことについても聞いてみた。
ともだちのことについてのうたをつくりたい
ひとりではなにもできないのだけど
ともだちがいればなんでもできる
ともだちのことをおもうとげんきがでてくる
今年度のコース活動に大きな影響を与えるひとことになっていくだろう。
ところで、欠席した女性のコースにはもう一人車いすの女性がいる。単語で意志表意をしたり、手をあげたりできるので、コミュニケーションはある程度とれるのだが、単語も「げんきー」など、限られていたので、複雑な文章を綴るというようなイメージはもたずに、もう10年以上関わってきた。しかし、もはやためらう理由などなかった。
私はコースがちがうので、昼食の時間を利用して、彼女のもとへでかけた。そして、簡単に説明してパソコンを開いて練習をすると、さっそく次のような文章が綴られた。
このすいっちやりやすい
のぞんでいました
もうできないかとおもっていました
うれしい
そこで、食事のあとにまた来ますと約束して、その場を離れた。食事が終わって行ってみると、いつになく早く食べたとのことで、ちょうど終わるところだった。そこで再開する。
とてもむりとおもってきたけどできてうれしい
ともだちとはなしたいとおもってきました
このすいっちはどうしたの ほしい
この様子を、この3月まで学生だった女性が見守っていた。学級には久しぶりの参加だった。
ひさしぶりですねあいたかった
どこにすんでいますか
かいしゃはどこですか
でんしゃでとおったことがあります
何か気持ちで書きたいことはと尋ねると、
ともだちがしんでかなしいです
○○(通所施設)のひとです
ずっとまえです
と綴られ、さらにこう続いた。
ねがいはりかいしてもらうことです
わかってもらいたい
発作が起きてしまったので、ここで中断し、最後、つどいでみんなが歌っている横で、次の文章を綴った。
このすいっちがほしい
○○○さんはやさしいとおもいます りかいしてもらえてうれしい
○○○さんはかわいい ○○○○さんはさっそうとしています
○○○さんはまたきてください
ふしぎですことばがすらすらでてきます
いいきぶんです ねがいがかなってうれしいです
おかあさんにもしらせてください
つねにわたしをしんぱいしてくれているから
ねがいがかなってうれしい
そこで迎えに来たお母さんに文章を見せた。突然のことに驚きを隠せないお母さんだったが、どこで文字を覚えたのという質問をして、実際に書くところを見ていただいた。
がっこうでようごでともだちがおぼえているのをみておぼえた
と答えが返ってきた。
次回がまた楽しみだ。
|
2008年9月8日 12時32分
|
記事へ |
コメント(0) |
トラックバック(0) |
|
青年学級 |
トラックバックURL:http://blog.zaq.ne.jp/yshibata1958/trackback/64/