ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年10月07日(火)
ひかり学級の人と
 ○○さんがパソコンで言葉を表現し始めて3度目の学級日、さっそく朝から彼も話し合いに参加した。

おはようおひさしぶり
せいねんがっきゅうをたのしみにしていました
せっかくだからうたをうた
(ここでみんなが口々に歌のリクエストを言い始めたので彼も文章を中断して曲名を書いた)
ーともだちのうた
てをつかってはなせてうれしい
ねがいがかなってかんげきしています
ねがっていましたすいっちでなやみをいうことを
◇◇くんはすごいね
がんばっていますね
そんけいしています
りそうのだんせいです
でもなかなかしごとがたいへんそうてすね
このこーすのめんばーにはなぜじょせいがおおいのですか
むずかしいしつもんかもしれないけれどふしぎです
でもそのほうがいいです
うまくいえませんがなかまがだいすきです 

 そんなふうに綴っているとき、ひかり学級の☆☆さんが、突然入ってきた。ひかり公民館の青年の人数が増えたときに、分かれてできた学級だ。この日はコースの外出で公民館までやってきたらしい。学級の中でもとりわけ障害が重いとされる彼女が突然入ってきたのはわけがある。音楽コースで同じく障害の重い○○さんが、パソコンで言葉を表現するようになったのを知っていた援助者(とびたつ会の松田さん)が、彼女にも可能性を感じてともかくその現場を彼女に見せに来たのだ。たえず手をなめていて、視線の方向も読み取りづらい彼女が○○さんの姿をどうとらえのか。少なくとも外見からは特別な様子は見あたらない。しかし、今度いつ会えるか分からないし、外見にはもはやこだわっても意味がないことは痛烈に思い知らされているので、○○さんの文章が一段落したところでさっそく彼女にパソコンを試みた。まず、操作の説明ということで名前をいっしょに書くと手応えは十分だった。そして、次のような文章が綴られた。


☆☆(名前)
このすいっちはどうしたのですか
ちからがかるくてふしぎなきもちです
うれしいです
とてもむりかとおもってきました
なぜわたしがはなしがわかることがわかったのですか
とてもおどろいています
こどものころからべんきょうしてきましたからよくわかります
わたしのおかあさんにつたえてください
うれしいです
ねがってきました
ことばできもちをつたえることを
とてもかんげきしています
のぞみはすきなひとといっしょにくらすことです
またよろしくおねがいします

 彼女が初めて学級に来た日のことを私はよく覚えている。ひかり学級の開級式の時のことだ。車いすで明確な表現手段を持たない方が学級に初めて入ってきた。受け入れ側にも様々な意見があったが、ともかく来ていただいた。ふだんは学級がちがうのでなかなか会うことができないが、わかそよのステージには必ず彼女の姿があった。ステージ上で友だちに囲まれて笑顔にあふれていた場面などが思い浮かぶ。その彼女の思いが十年あまりの時を経て、今私たちの目の前に明らかになった。新しい大きな始まりの予感がする。
 

2008年10月7日 12時44分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 青年学級 |
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