パソコンと手書き文字での初めての会話
相撲ファンの高校生○○君は、秋場所の不祥事に胸を痛めていたらしく、次のような文章を書いた。
みんながねがっていることだからけっしてやおちょうはやらないでほしいとおもう
ねがっていますやおちょうをやっていないことを
すきなすもうがよごれるのがかなしいです
不随意運動が出たり力が入りすぎたりするので、できるだけ力を抜いてもらい、こちらの援助を増やして、よりスピードをあげていくと次のような感想をくれた。
すいっがかるくてやりやすいです
ふしぎですかんがえただけでかけていくのが
けっしてできないとおもっていましたこんなにらくにてをつかえるとは
すごいほうほうですね
つぎつぎにもじがかけていくのできもちがつたわります
すごいですね
つかれません
こんなやりとりをしていると、となりの部屋で、私の妻と手書き文字に取り組んでいた中学生の☆☆さんから、メッセージが投げかけれた。今、手元に正確な文章がないが、どんなことを書いてるのということだった。手を添えられて筆ペンで流れるようにひらがなが書かれていた。○○君の文章をまずは、音読して伝えたが、期せずして、仲間同士の初めての言葉によるコミュニケーションが成立した。先輩である○○君は、さらにこう書く。
せっかくことばをつかえるようになったのだからせいいっぱいきもちをつたえてくださいね
そして、また、☆☆さんからの流れるような筆跡の文が返ってくる。感情を率直に表現した言葉だったと思う。それに対して、○○君は、さらにこう返した。
てをつかわなくてもおかあさんはつよいみかたですよ
つぎもまたはなしをしましょうね
たのしみにしています
そして、☆☆さんの手書きという方法について、こう述べた。
てがつかえてすばらしいね
ぼくもちょうせんしてみたいです
じをかくことにむずかしいかもしれないけどがんばりたい
そういうふうに書いていると☆☆さんから、今度うちに遊びに来てというお誘いがあった。それに対する○○君の答え。
しょうたいしてくれてありがとう
きっといつかおじゃまします
おかあさんよろしくおねがいします
☆☆さんは、私たちと一緒に来たらと提案してきた。すると○○君は、次のように帰す。
しばたせんせいはいそがしそうですがだいじょうぶですか
これは、☆☆さんの文を一緒に見ていた私が、スケジュール表を思い浮かべながら即答できないでいるのを見て、配慮して書いた文章だと思う。
そんなところですでに時間を過ぎていたので○○君は
おわりにしましょう
といったんは書いた。しかし、心残りがあったらしく、さらに、こんなことを続けた。この日は、理解してくれる先生が来ていたので、その先生に向けた言葉だ。
せんせいにわかってもらえてがっこうでもよろしくおねがいします
なぜせんせいたちはしんじてくれないのですか
ねがいはおおくのひとがしんじてくれるようになるとうれしい
なかなか理解してくれない先生がいるということらしい。だが、少なくても理解してくれる先生がいるということは、すでに、大きな一歩が踏み出されているということだ。☆☆さんたちをはじめとする後輩たちがもっと歩きやすい道を○○君が切り開いてくれることを期待している。
先生たちの理解を超えて、生徒たちの間にこんな会話がすでに始まろうとしている。こうした声をかき消すなどということが教育の現場で起こっていいはずがない。
最後に、もう一度、○○君から、☆☆さんも含めたみんなに向けて
さようなら
と発せられた。
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2008年10月8日 18時29分
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自主G23区1 |
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