初めての手紙
都内の研究所でのできごと。7月から文章を綴り始めている☆☆さんと関わった。残念ながら、1000字を越えるところでプログラムのミスが起きて、プログラムが終了してしまったので、記録にとどめることができなかった。もともと、1000字を越えることなど、想定せずに作ったものだったからだ。
はじめに、返事として使える体の部位について質問してみた。パソコン以外でも言葉を表現してもらう手段を考えるためである。すると、手については、特に指、口などをあげたが、なかなか自由に使えないということ、気持ちがいい時には声は出せることなどを書き、今日はのどがつらいけれど、書きたいことがいっぱいあるのでがんばるとも付け加えた。
続いて、いろいろな人と話せるようになりたいという願いを書き、どうやったらそうなるのか、スイッチの援助はむずかしいのかなど、いろいろと語った。ご両親にも、特殊な方法のように映るようで、さしあたり、生活の中にどうやって生かしていくか、とまどっておられるようだった。
そんなことをひとしきり書いた後、ご両親のことに話が及ぶ。世界一のとうさんとかあさんという言葉や、とうさんとかあさんがずっと元気で長生きをしてほしいということなどを書く。健康に不安をお持ちのお母さんだから、こうしたひとことひとことが、ずっしりと響いてくる。
そして、お父さんに対して、かあさんを大切にしてくださいとお願いをした。
彼女は、書いている内容がそのまま感情として体の動きに表れるので、家族の話に及んでからは、体中に力を入れたり、声を出したりして、気持ちがひときわ伝わってきた。
ワープロがエラーで終了してしまったので、1000字も書いたということで、休憩をした。そして、一つお願いをした。それは、国学院大学の学生で、彼女のことで卒論を書くために、毎週家庭訪問をしていた女性にメッセージを書いてほしいということだった。
卒業後も、☆☆さんの家族と親しくしている方で、先日、電話で☆☆さんが文章を綴るようになったらとても喜んでくれるということがあったからだ。
以下は、さらさらと書いた手紙である。しっとりとした文面に、☆☆さんの成熟した人柄がうかがえた。
◇◇◇せんせいおげんきですか
わたしはきもちをことばでいえるようになってとてもうれしいです
ねがってのぞんできたことだったのでかんげきしています
こんどおこさんをつれてあそびにきてください
しばたせんせいはずっとげんきです
なつかしいです わたしのいえにきてくれていたころいろいろべんきょうをおしえてくれたことが
めをつかうことはむずかしいですがせんせいのかおはよくおぼえています
ずっとわたしのことをきにかけてくれてありがとうございます
ほんとうにかんしゃしています
でんわでいつもはなしてくれてありがとうございます
またこえをきかせてください
それではさむくなるのでおからだにはおきをつけください
さようなら
「◇◇◇せんせい」にあてて、この初めての手紙を投函したところだ。
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2008年10月14日 08時43分
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