りかいしてみせます
歩くこともでき、日常生活の動作もかなり自分でこなせるけれども、限られた言葉しか発声できない○○君に、2スイッチワープロを試みて、数ヶ月が過ぎた。もっと体の動きに困難を感じている方々に行っている援助をすれば、すらすらと文章を綴れるのだが、彼は、前に、自分でやれるようになりたいときっぱりと宣言しているので、今、私の課題はどうやったら彼が独力でワープロを操作できるようにしてあげられるかということである。
彼の運動をめぐる困難は、2スイッチワープロをやってみて、初めて明らかになった。スライドスイッチやプッシュスイッチを一回だけオンオフするだけだったら、それほど困難はない。しかし、繰り返しリズミカルにそれを行い、しかもあるタイミングでもう一つのスイッチをオンするとなると、急に大変になる。
楽なスイッチを探すのはこれからだが、2スイッチワープロのプログラムを、少し変えてみることにした。行や段を進めて行くスイッチを、これまでは、一回ごとにオンしていたのを、一回オンすると、オフにするまでは行や段が進んで行くようにしたのである。
思いついてプログラムを改良したのは、前夜のこと。やっつけ仕事もいいところだった。
○○君と会うと、さっそくこの改良型の2スイッチワープロを試してみた。すると、少なくとも送るほうのスイッチに関しては、独力でやることができた。残された課題は、決定の方のスイッチの操作をいかに独力でやるかということだが、工夫次第で何とかなりそうに思えた。
そんなふうにして、彼が、独力で綴った文は、以下のようなものだった。
りかいしてみせます
すてきなひとになりたい
うすいきほ
ここで、時間も迫ってきたので、たくさん援助する方法で改めて続きを書いてもらった。すると以下のように続いた。
うすいきぼうでもよいから
もっと先がありそうだったが、やさしい彼は、次の仲間にゆずることの方を大事にした。
短い言葉の中に、強い意志と、リアルな現実を見すえるまなざしを感じた。
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2008年10月26日 01時26分
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自主G多摩2 |
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