夏に、障害者が障害児を産むことこそ人生の最大の幸せだという言葉を聞かせてくれた廣瀬岳君が、出生前診断について、語りました。
廣瀬君は、ご両親に障害があり、お母さんは、私がお会いした時には、もう亡くなられておられました。
利害関係はぼくにははないけれどわざと私たちを笑う人もいて悲しいです。ぼくは自分では何もできないけれど理想は高く持っていますからわざわざぼくたちを笑う人が許せないです。別に私たちを殺すとまでは言わなくても生まれてくる前の障害児なら殺してもいいというのはまちがっています。まるでナチスと同じです。ナチスはユダヤを虐殺する前に障害者を虐殺したと聞きましたが今日本中でそのことが問題になっています。でもどうしてなのかわからないけれど私たちの声がまったく考慮されていません。それがぼくには許せません。利害ばかりが先行して人間としての同等性などがまったく考慮されないのは言語道断です。わざわざぼくたちを笑い者にする社会は必ず滅んでいくにちがいありません。敏感な仲間は生きる勇気をなくしかけています。本当に許せません。私たちはもっと声をあげたいけれど私たちがまだわかっていることさえ認められていないのだからどうしようもないですね。わずかな希望さえあればぼくたちは生きていけますがわずかな望みさえ持つことも許されずに亡くならなくてはいけない仲間がなぜ殺されるのかほんとうに悔しいです。絶対に許せません。理想をなくしかけている仲間にも伝えたいです。ぼくたちにも必ず夜明けは来ると。わずかなものかもしれませんが夢があるのでぼくはけっして負けたくありません。利害関係よりももっと大事なものがあることを世の中に思い知らせたいです。
ナチスがユダヤ人虐殺の前に障害者を虐殺したという話は、いったいどこで聞いたのかと尋ねると、我が家では、お父さんがそういう話を当たり前にするそうで、すぐそばにおられたお父さんもその言葉にうなずいていらっしゃいました。そういう考えの彼だからこその、厳しく選び抜かれた言葉による主張のように思いました。
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