ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2013年12月28日(土)
国も滅び現実のみが静かに過ぎてゆく
 心に何か憂鬱なものをかかえた表情のSさんはいきなり、こんな詩を綴りました。

国も滅び現実のみが静かに過ぎてゆく
夢にまで見た世界は遠のくばかり
私は涙も涸れ果てて一人佇む
罪を問い不徳を問うことは意味がない
どうしようもないゆゆしさのみが空しく残る


 そして、次のような説明をくわえたのです。

 つらいのは千葉の施設で虐待があってなくなった人が繰り返されるニュースを通してもだえている様子とともに伝わってきてとても憂鬱な毎日になっています。そのことを詩にしました。とても憂鬱な毎日です。死のそばでつまらぬことばかり語られて許せません。死んだ人が何も分からないから仕方ないという論調が許せません。根本が狂っています。

 たくさんの人がこのできごとを自分の問題としてとらえ、大変な憂慮をしています。
2013年12月28日 00時49分 | 記事へ | コメント(0) |
| 自主G23区2 / 人権侵害 |
私はなぜ強度行動障害が起こるかについて身をもって経験してきました。
 知的障害の特別支援学校を卒業して今年二十歳になった女性のOさんが、千葉の施設での事件について語りました。同じ立場の仲間と長い時間をともに過ごしてきただけに、思いは強いものがありました。

 誰からも嫌われる経験は人間として本当に悲しい経験なのですが理想をいくら唱えても現実は何も変わりません。しかしそれだからこそ私たちは訴えていかなくてはいけません。どうにかしてみんなふつうに理解できていることをわかってほしいです。
 敏感な人たちだからこそつらい人生を歩まなくてはならなかったので理想はろうそくに明かりがともるように私たちを受け入れる世の中になってほしいということです。
 私はなぜ強度行動障害が起こるかについて身をもって経験してきました。仲間にそういう人がたくさんいたからですがみんな小さいときはかわいいと言われてよかったのですがだんだん大きくなるにつれ人として見てくれる人以外はどうしてあなたみたいな人がいるのという言葉を投げつけられるようになりだんだん生きる希望をなくしてしまったからです。希望を失うとみんないっそうつらそうな表情になってそれがまた悪循環を生んでしまいます。
 学校にはよい先生がたくさんいましたが人間と認めてくれない先生はなかなか私たちのことがわからなくて強い口調で私たちを責めたりするので私たちもなぜそんなに言われなければならないのだろうとだんだん暗い表情になってしまったのです。
 誰が悪いなどと責めるつもりはありませんがやはりつらいのは仲間なのでこのことはぜひ訴えていきたいです。
 小さな希望かもしれませんがこうして私たちも何とか話せるようになったのですがつらいのはまだこのことが世の中に受け入れられていないことです。何とかして早く理解されないとまた犠牲者が出てしまいます。黙っているわけにはいかないので満願のものを伝えたいです。銀世界がもうここにはあるのにまだそこに入れないでいる仲間を早く救い出したいです。


 
2013年12月28日 00時22分 | 記事へ | コメント(0) |
| 人権侵害 / 自主G23区2 |
僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです
遠くから大きな声を出しながら廣瀬岳さんがやってきました。彼は、千葉の施設で起こった事件について、強い怒りをもってやってきたのでした。そして、さっそく、次のような書きました。

 なぜ仲間が亡くならなくてはならなかったかを思っていたら体中に力が入ってしまいました。
 絶対に許せないのは僕たちは何もわかっていないと思われているということです。何もわからないという思いこみがすべての根本にありますからこんなことが起こるのですがいつになったら世の中は変わるのでしょうか。世の中が変わるのを待っていたらまた犠牲者が出てしまいます。
 誰のせいで亡くなったかということは今回は問題ではありません。世の中の考えこそが仲間を殺したのです。僕たちの仲間が亡くなったというのに誰一人それを語らないのはおかしいと思ったので僕はみんなを代表して語りました。
 まだわかってもらえないのでしかたないですがもう二度とこんなことが起こらないようにするためにこれをまたインターネットで発信してください。ぜひよろしくお願いします。
 黙っているわけにはいかないのですがなぜ何もできないのかとても悔しくて夜になると悩んでいました。ようやく言えてどうにか収まりそうですが世の中をどうやったら変えられるのでしょうか。なぜ世の中はどんな人も同じように考えていると言うことに耳を貸してくれないのでしょうか。訴えても訴えても届かないのでつらいです。
 なぜ僕のような意見は認められないのでしょうか。日本中の施設から暴力がなくなってほしいのでどうにかしたいです。
 強いろうそくがほしいです。存分に議論してもらいたいです。
 ぜひ主張してください。僕たちの人権がかかっていますから。
 人権は言葉を持つ持たないには関わりはありませんが僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです。
 ぜひどこかに発表してください。よろしくお願いします。人権問題だからどうにかして乗り越えたいです。


 今回の事件で語られていない最大の問題は、亡くなった方もまた、当たり前に言葉を持ち、当たり前の考えを持っていたということに、周囲も世の中も気づいていなかったということである。「人権は言葉を持つ持たないには関わりはありませんが 僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです」と語る廣瀬さんの言葉は大変重い。廣瀬さんは重度の肢体不自由のある方だが、もちろん「僕たち」の中には、今回亡くなられたような障害の方も含まれている。
2013年12月28日 00時07分 | 記事へ | コメント(0) |
| 人権侵害 / 自主G23区2 |