ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2013年12月30日(月)
2014年1月のきんこんの会のお知らせ
 2014年の1月のきんこんの会の日程について正式に決まりましたのでお知らせいたします。(内装工事の関係で正式な使用許可が出るのが遅れておりました。)

 日時:2014年1月25日土曜日
 午前11時より コミュニケーションの援助の学習会
 午後2時より きんこんの会
 場所 國學院大學たまプラーザキャンパス1号館410番教室

 コミュニケーションの援助の学習会については、障害のある方とのコミュニケーションを必要としている方にその援助の方法をお伝えする場です。
 また、きんこんの会は、当事者の語り合いの場です。
 なお、当日車でおいでの方は、大学の近隣のコインパーキングをご利用くださいますようお願いいたします。
 
 参加はご自由です。
 
2013年12月30日 12時00分 | 記事へ | コメント(0) |
| きんこんの会 |
2013年12月28日(土)
国も滅び現実のみが静かに過ぎてゆく
 心に何か憂鬱なものをかかえた表情のSさんはいきなり、こんな詩を綴りました。

国も滅び現実のみが静かに過ぎてゆく
夢にまで見た世界は遠のくばかり
私は涙も涸れ果てて一人佇む
罪を問い不徳を問うことは意味がない
どうしようもないゆゆしさのみが空しく残る


 そして、次のような説明をくわえたのです。

 つらいのは千葉の施設で虐待があってなくなった人が繰り返されるニュースを通してもだえている様子とともに伝わってきてとても憂鬱な毎日になっています。そのことを詩にしました。とても憂鬱な毎日です。死のそばでつまらぬことばかり語られて許せません。死んだ人が何も分からないから仕方ないという論調が許せません。根本が狂っています。

 たくさんの人がこのできごとを自分の問題としてとらえ、大変な憂慮をしています。
2013年12月28日 00時49分 | 記事へ | コメント(0) |
| 自主G23区2 / 人権侵害 |
私はなぜ強度行動障害が起こるかについて身をもって経験してきました。
 知的障害の特別支援学校を卒業して今年二十歳になった女性のOさんが、千葉の施設での事件について語りました。同じ立場の仲間と長い時間をともに過ごしてきただけに、思いは強いものがありました。

 誰からも嫌われる経験は人間として本当に悲しい経験なのですが理想をいくら唱えても現実は何も変わりません。しかしそれだからこそ私たちは訴えていかなくてはいけません。どうにかしてみんなふつうに理解できていることをわかってほしいです。
 敏感な人たちだからこそつらい人生を歩まなくてはならなかったので理想はろうそくに明かりがともるように私たちを受け入れる世の中になってほしいということです。
 私はなぜ強度行動障害が起こるかについて身をもって経験してきました。仲間にそういう人がたくさんいたからですがみんな小さいときはかわいいと言われてよかったのですがだんだん大きくなるにつれ人として見てくれる人以外はどうしてあなたみたいな人がいるのという言葉を投げつけられるようになりだんだん生きる希望をなくしてしまったからです。希望を失うとみんないっそうつらそうな表情になってそれがまた悪循環を生んでしまいます。
 学校にはよい先生がたくさんいましたが人間と認めてくれない先生はなかなか私たちのことがわからなくて強い口調で私たちを責めたりするので私たちもなぜそんなに言われなければならないのだろうとだんだん暗い表情になってしまったのです。
 誰が悪いなどと責めるつもりはありませんがやはりつらいのは仲間なのでこのことはぜひ訴えていきたいです。
 小さな希望かもしれませんがこうして私たちも何とか話せるようになったのですがつらいのはまだこのことが世の中に受け入れられていないことです。何とかして早く理解されないとまた犠牲者が出てしまいます。黙っているわけにはいかないので満願のものを伝えたいです。銀世界がもうここにはあるのにまだそこに入れないでいる仲間を早く救い出したいです。


 
2013年12月28日 00時22分 | 記事へ | コメント(0) |
| 人権侵害 / 自主G23区2 |
僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです
遠くから大きな声を出しながら廣瀬岳さんがやってきました。彼は、千葉の施設で起こった事件について、強い怒りをもってやってきたのでした。そして、さっそく、次のような書きました。

 なぜ仲間が亡くならなくてはならなかったかを思っていたら体中に力が入ってしまいました。
 絶対に許せないのは僕たちは何もわかっていないと思われているということです。何もわからないという思いこみがすべての根本にありますからこんなことが起こるのですがいつになったら世の中は変わるのでしょうか。世の中が変わるのを待っていたらまた犠牲者が出てしまいます。
 誰のせいで亡くなったかということは今回は問題ではありません。世の中の考えこそが仲間を殺したのです。僕たちの仲間が亡くなったというのに誰一人それを語らないのはおかしいと思ったので僕はみんなを代表して語りました。
 まだわかってもらえないのでしかたないですがもう二度とこんなことが起こらないようにするためにこれをまたインターネットで発信してください。ぜひよろしくお願いします。
 黙っているわけにはいかないのですがなぜ何もできないのかとても悔しくて夜になると悩んでいました。ようやく言えてどうにか収まりそうですが世の中をどうやったら変えられるのでしょうか。なぜ世の中はどんな人も同じように考えていると言うことに耳を貸してくれないのでしょうか。訴えても訴えても届かないのでつらいです。
 なぜ僕のような意見は認められないのでしょうか。日本中の施設から暴力がなくなってほしいのでどうにかしたいです。
 強いろうそくがほしいです。存分に議論してもらいたいです。
 ぜひ主張してください。僕たちの人権がかかっていますから。
 人権は言葉を持つ持たないには関わりはありませんが僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです。
 ぜひどこかに発表してください。よろしくお願いします。人権問題だからどうにかして乗り越えたいです。


 今回の事件で語られていない最大の問題は、亡くなった方もまた、当たり前に言葉を持ち、当たり前の考えを持っていたということに、周囲も世の中も気づいていなかったということである。「人権は言葉を持つ持たないには関わりはありませんが 僕たちの言葉を認めないのは人権侵害の一つです」と語る廣瀬さんの言葉は大変重い。廣瀬さんは重度の肢体不自由のある方だが、もちろん「僕たち」の中には、今回亡くなられたような障害の方も含まれている。
2013年12月28日 00時07分 | 記事へ | コメント(0) |
| 人権侵害 / 自主G23区2 |
2013年12月21日(土)
千葉の施設の事件について
 KさんとOさんが、千葉の施設での事件について意見を交わしました。パソコンを用いずに、意見を交わしあったあと、それぞれ、次のような文章を、きちんと伝えてほしいとのことでまとめました。
 まず、Kさんの文章です。

 ばかにされ命を落とした仲間に変わって僕は言いたい。もっと世の中が進んで僕たちはすべてを理解できていることが理解されたら僕たちは二度とああいう悲劇に巻き込まれずにすむだろう。誰が悪いという議論ばかりする前にまだみんなきちんと理解できているにもかかわらずただろうそくを灯すことができないでいることが問題なのだ。どうしても体がうまくコントロールできずにいたり勝手に体が動いたりしているという事実を世の中の人が理解しない限りこうした悲劇は繰り返されるだろう。

 次にOさんの文章です。

 人間はどうしてもその方向に行きやすいから、管理者が常に仕事場にいて虐待は許さないと言い続ける必要がある。いつも仕事場にいなくてお教育していくシステムがいると思います。虐待している人もどうしていいかわからないで困っていて助けてほしいと思うから、相談にのってあげて、こうした方がいいよと伝える役目の人が必要だと思います。教育の場にもこうした方がいいよと助言する氷魚がくるけど、そういう施設はむずかしいから助言してほしいと僕は思います。大野君はどう思っているか聞いてみてください。

 Oさんは、自分たちのような重度の肢体不自由のある者は、けっして今回のような目に合うことはないけれど、そういう処遇を受けそうなメンバーときんこんの会で会うようになって、こうした事件が前よりもいっそう自分たちの問題だと思えるようになったと語っていました。

 
2013年12月21日 20時55分 | 記事へ | コメント(0) |
| 自主G23区1 / 人権侵害 |
託された一枚の文章
 ある会で、Oさんから一枚の紙に書かれた文章を渡されました。それはこのようなものです。私と書いたものではなく、家で援助による筆談によって用意してきた文章です。そしてブログに掲載してほしいと頼まれました。 

 きんこんの会について、柴田先生に伝えたいことがあります。
 どこの誰かは知りませんが、ネットで柴田先生のことを否定してひどいことを書いている人がいます。
 僕は柴田先生のおかげで今の自分があります。その人はきんこんの会にあら探しにくるのでしょうが、僕たちの夢を壊すのはやめてほしいです。僕は当事者でもない人にそんなことをされたくはありません。おおやけにするのではなく、自分で勝手に思っていればいいのです。
柴田先生の方法でたくさんの人が救われています。僕はその方法を広げたいと思い、仲間たちといっしょに「支援講座」を立ち上げました。今度は、柴田先生の方法が正しいことを僕たち当事者が証明する番です。
きんこんの会に来た上で僕たちのコミュニケーションの方法を誹謗中傷するのは、許せないことです。当事者の人格を否定することであり、傷つけることになることを理解してほしいです。


 私は、今、正直なところこうした場でどのような意見を述べるのがのかわからずにいます。しかし、私は仮に私の方法が偽りだと言われても、いかがわしい人間としての人格は最低限認められているわけですが、当事者の場合は、そこに語っている人格が認められていないことになるので、この言葉を載せてもらいたいとの意見は痛いほどわかりました。
 2013年も終わりに近づきました。私に課せられているのは、前に向かっていくということだけはまちがいないと思っています。
2013年12月21日 20時28分 | 記事へ | コメント(0) |
| 自主G23区1 |
2013年12月19日(木)
改めて出生前診断のこと
 12月1日の青年学級の朝の集いの最後に、Y.Iさんが発言を求めました。昨年たくさん話し合ってきた出生前診断で、ついに検査が始まり、子どもを生まない選択をした人たちが大変多いというニュースについてみんなはどう思っているか、ということでした。
すると、ダウン症の本人であるH.Kさんから、「みんなが私たちのことについて考えてくれるのはうれしいけど、やっぱり悲しい」、また、M.Mさんからは、「昨年話したことが届かず悲しい。でも、今までもしっかり議論してきたから、これからも考え続けていかなければ、という思いはみんなも一緒ですね」という意見が出されました。みんなもちろん思いは同じで、後は、それぞれのコースで話し合おうということになりました。
 そして、私のコースでは、朝の集いでも発言したH.Kさんが、私がこれから気持ちを言うのでそれを1番の歌詞にしてほしいということ、そして、同じコースのダウン症当事者であるT.Mさんに、ぜひ2番の歌詞につながる言葉を言ってほしいということを語りました。そして、語られた言葉が以下のものです。

まず、H.Kさんの言葉です。

私は生まれてきてよかったです
私はしあわせな経験をしてきた
たくさんの仲間に出会い
たくさんの夢を持ち
たくさんの仲間に受け入れてもらいました
私の人生は小さい時から施設ぐらしで
見た目には悲しい人生に見えるかもしれませんが
私にとってはかけがえのない人生でしたから
この喜びをこれから生まれてくる
ダウン症の子どもたちに伝えたい
 

次にT.Mさんの言葉です。

私のいのちは私だけのものではなく
私のいのちはみんなのいのち
わたしのいのちを与えてくれた
母さんのいのちをとひとつのいのち
よいいのちと悪いいのちをわけるなら
いのちはいのちでなくなってしまう
いのちはひとつにつながって
大きなひとつのいのちだから
私はいのちをそまつにしたくない
わたしのいのちはみんなのいのち
ひとつのいのちはわけられない


 ふだんこうしたことを語ることのない穏やかな二人が懸命に語った言葉でした。そして、この歌詞で歌を作ることに決まりました。

2013年12月19日 23時02分 | 記事へ | コメント(0) |
| 出生前診断 / 青年学級 / ダウン症の当事者 |
2013年12月18日(水)
このあいだ施設で虐待があったのを知っていますか。
 ゼミの授業を訪れたKさんが、最初に言いたいことがあるということで話を始めました。まさに今この時、語っておかなければならないということで、話をしたとのことです。

 このあいだ施設で虐待があったのを知っていますか。理想的な施設はもちろんありますがみんな何もわかっていないというのが前提なのでまだまだと言わざるをえません。とくに自閉症の人たちは誤解が激しくて理解できていないというのが前提なのでこういう事件が起こってしまいます。理解できていても自由に体が動かせないのだということを理解してもらえないといつまでもこんなことが繰り返されると思います。理想的な施設はもちろんありますがみんな何もわかっていないというのが前提なのでまだまだと言わざるをえません。とくに自閉症の人たちは誤解が激しくて理解できていないというのが前提なのでこういう事件が起こってしまいます。理解できていても自由に体が動かせないのだということを理解してもらえないといつまでもこんなことが繰り返されると思います。

 この後、彼は、私の手を使ったあかさたなの通訳でさらに続けました。この事件の背景をきちんと理解することが大事で、普通の犯罪なら犯人の過去の経歴というのが背景になるが、この事件の背景にあるのは、社会全体がまだ障害のある人もちゃんと理解ができているけれど体がうまくコントロールできていないということを知らないという背景があるのだから、この事件の責任は、社会全体にあるというようなことを述べ、強度行動障害と呼ばれるものも、もともとの障害ではなく、まちがった働きかけが生み出したものだということなどを、懸命に語りました。
2013年12月18日 14時11分 | 記事へ | コメント(0) |
| 大学 / 人権侵害 |
残酷な知らせが届いた
中学1年生の少年が、12月16日に綴った詩です。
千葉の施設の事件を受けてのことでした。

残酷な知らせが届いた
昔の仲間を
どうにもできないからといってけとばして
死なせてしまった
ぼくは言葉を失った
理解していることさえわかられぬまま
なぜ彼は死なければならなかったのだろうか

また、この詩の前に次の言葉も記しています。

気持ちが言いたいので夢みたいですが人間としてぼくたちが認められるためにはなんとかしてこの事実を伝えなくてはいけませんね。どうにかして私たちの言葉を伝えたいので人間はみんな言葉があることを伝えてほしいです。わだかまりもあるけれどみんなを許して学校を楽園にしたいです。
2013年12月18日 09時24分 | 記事へ | コメント(0) |
| 大学 / 人権侵害 |
2013年12月14日(土)
千葉の施設における若者の死亡事件について
 千葉の施設で、入所していた19歳の若者が、職員の暴力によってなくなった可能性があるとの報道がなされました。中学3年生のF君は、そのことを受けて、俳句を作ってきました。まだ、報道から2日ほどしか経っていませんが、この時期に私に会うということは、自分が他の仲間たちを代表する意味でこの事件にコメントする必要があると考えて、急遽俳句を作ってきたとのことでした。

罪のなき人のいのちがが失われ。(なぜかわからないけど仲間が亡くなりました。)
人権を取り返したきぬんぬんと。
地域から離されいのちも奪われて。
人間と見なされぬままいのち消ゆ。
よき人が豹変せるか涙落つ。
人間は力では動かせぬ。
強き意志砕きて人は泥まみれ。(人は泥にまみれた被害者です。)
ついに人いのち奪われ未来消ゆ。
人間は茫然となぜ夜にある。
ぬいぐるみ蹴られて別に泣かぬとか。
ぼんやりとわだかまりのみ野暮なこと。
私たち人間のはず喪に服す。
分相応ぼくはけして受け入れぬ。
分相応などとわからぬ声のせり。
未来より過去のわずかな不幸消せ。
未来消え理想をなくし夜深し。


 また、同じく、20代の体の大きなYさんも、次のような文章をパソコンで綴りました。彼は、自閉症と呼ばれている方で、体が大きいためちょっとした行動が危険だとみなされることもあるそうで、今回の事件のようなことが起こる背景がよくわかるとのことでした。

私の仲間がそんなふうにしてなくなってしまったけど理解できないのは暴力ではなにも解決できないことにまだわかってもらえないのかということです。分相応などと言われたくないですね。世の中を早く変えなくてはいけません。わずかに人間として見てくれるのはこうしてぼくたちにも言葉があるということを認めてもらっているからですがだからこそ早く伝えなくてはなりません。ぼくたちは当たり前の人間なのだから。よい世の中に早くなってほしいです。

 複雑な事情はもちろんわかりませんが、最大の悲劇は、みんな当たり前に理解できているということがまだ常識となっていないということです。相手が何もわからないからと思うから、そこに暴力が生まれてしまうのでしょう。
 わかっていても、うまく体をコントロールできない人たちがいるというきわめてシンプルな事実に世界が気づけば、こうした悲劇は繰り返されずにすむにちがいありません。
 私たちの伝える努力が足りないことはよくわかっていますが、どうか、耳を貸していただき、この事実から目をそむけないでいただきたいと思います。 
2013年12月14日 22時17分 | 記事へ | コメント(0) |
| 人権侵害 / 自主G埼玉1 |