ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2008年09月04日(木)
北海道にて
 北海道に来た。8月に開かれた研究会で後先を顧みず、宴会の席で手帳を開き、「この日に行きます」と北海道の先生に押しつけるようにして約束したからだ。
 2日間の滞在で、たくさんの生徒さんに出会った。2スイッチワープロを介して関わった生徒さんが9名。いろいろな生徒さんがいた。
1名を除いて、あとは高等部の生徒さん。ぎりぎりの状況から発せられる様々な言葉は、言葉で気持ちを伝えたかったことをめぐる切実な思いを伝えてくる。
 その中で目立ったのは、私がどうして初対面の、しかもすらすらと言葉を綴ることができるとはとうてい見なされてこなかった自分に言葉があるとわかったのかという問いかけだった。
 私の答えは、明確だ。私だって、目の前の障害の重い方が言葉をすらすらと綴れるということを、出会った印象からは、ほとんど感じ取ることはできない。それでも、これまで出会ってきた多くの方々から、自分の印象はまったくあてにならないこと、相手の可能性は、確かめてみることでしかわからないということを教わってきた。だから、いきなりどの生徒さんにもワープロで挑戦したということだ。生徒のみなさんの問いかけには、ここにいない多くの同じような状況にある方々のおかげであると誰にも答えた。
 障害の重い人たちは、みずからあちこちをかけずり回ることは、現状ではむずかしい。まして、遠い北海道に来るなど、そんなに簡単なことではない。
 私は、ただ、そんな人たちの思いをつなげに来ただけだと思う。伝えたい思いを胸にいっぱい秘めながら、なかなか言葉で表せない人たちが、まだ、互いの思いをつなげられずにいる。
 いつかその思いが互いにつながりあった時、障害の重い人をとりまく状況は変わるにちがいない。
 細い糸かもしれないが、また一つつながった。

 
2008年9月4日 10時00分 | 記事へ | コメント(3) | トラックバック(0) |
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