自分で歩くこともでき、また、かなり自由に手の操作もできる◇◇君に対して、最初は、タッチパネルを一緒にさわる方法で関わっていたが、前回からこちらがスイッチをどんどんON-OFFして、選択の小さな力を読みとる方法を試してみて、うまく長文が綴れるようになった。
ちいさいときからゆめでした
みんなとはなしがしたいです
びっくりしました
はやくてみてなくてもできるのでらくです
びっくりしました
りかいしてもらえてうれしいです
見ることも、手を使うこともできる◇◇君だが、聞くだけでできるこの方法が楽だということだった。そして、見て文字を指さす方法では、文字の理解が今一つあやふやなように見えてしまうのだが、この方法ならば、こうしてすらすらと長い文章を書くことができる。なお、彼は、明確な発声はできないが、はいといいえは明確であり、自分の思い通りの文字が選べないと、本当に残念そうな声を出すので、ある意味では非常にわかりやすい少年だ。そして、次のような言葉を綴った。
みらいがひらけてきました
みらいがあかるくはじまりそうです
みらいがねがいどおりになりそうです
みらいがたのしみです
みらいがゆめのようにひろがってきました
「みらいが」と繰り返される言葉のリズムが、◇◇君の独自のリズムであるように感じた。
ここで、ひらがなの理解について尋ねてみた。
ひらがなはぜんぶおぼえましたがかくのはたいへんです
さがすのはかんたんです
ゆびさすのはたいへんです
ちいさいころからみんなとはなしたかった
さらに、お母さんについて尋ねてみた。すると、さらさらと、お母さんに対する、素直な思いやりを表現した。
おかあさんいつもありがとうございます
ぼくのことでいつもいそがしくてごめんなさい
じぶんのじかんをだいじにしてください
にちようびはあそびにでかけてください
にちようびはおとうさんがいるのでだいじょうぶです
ぼくひとりでるすばんをします
そして、何度も繰り返される次の言葉が再び登場する。
ちいさいときからいいたいことがいいたかった
みんなとはなしたい。
ここで、詩を作ったことがあるかと尋ねると、力強くうなづいて、次の詩が書かれた。
ゆめがかなって ひかりがさした
ゆめがかなって やっとゆうきがわいてきた
ゆめがかなって りそうのかぜがふいてきた
ゆめがかなって ねがいのはながひらいた
ゆめがかなって ろうそくのひがともった
ゆめがかなって りそうのもんがひらいた
ゆめがかなって みちがひらけてきた
ゆめがかなって ゆきのようなかぜがふいてきた
ゆめがかなって ひとりぼっちではなくなった
ちいさいぼくは ゆめだけをだいじに
りそうをもとめて いきてきた
みらいのゆうきが ひつようだ
みらいのものがたりが よろこびだ
みらいのみのりが ひつようだ
みらいのびとくが ひつようだ
みらいのみちが ひつようだ
みらいのぼくには わずかなわずかなゆめが
こころのなかからわいてくる
みらいがあかるく ひろがって
りそうのかぜが ふいてきた。
ゆき いのり
ゆき ねがい
ゆき へいわに
ゆき よいいのち
ゆき きぼうを
ゆき ゆめを
ゆき りそうを
ゆき みらいを
ゆき ちいさなぼくに
ゆき ねがいをかなえ
ゆき よいじんせいを
ゆき べんりなせかいを
ゆき わかちあう。
独特の反復によって広がっていく◇◇君の詩の世界は、本当に個性的だ。
また、算数についても自分でわかる問題を作って解いてみてとお願いした。
296+54=350
かんがえたからわかる
だれもおしえてくれないのでじぶんでおぼえた
42÷6=7
くくもひとりでてれびでおぼえた
665÷5=133
222÷2=111!
555÷5=111!
そして、665÷5は、一度まちがえてしまったが、あとは、正解。横にいるお母さんは、ただただ驚いていらっしゃる。
そして、遊びのように英語を書いたあと、分数を教えてほしいと言われた。
BOOK ほん
ぶす(=分数)をりかいしたい
おしえてください
ちょうど、その場にあったホワイトボードを使って急遽、分数の基本的な「授業」をした。そして、感想は次の通り。
ぶんすうのいみがわかりました
うれしいです
みらいがひらけてきました
ふつうのべんきようがしたかったけどおしえてもらえなくてかなしい
がんばってりかいしたいとおもいます
びっくりしました
りかいできてうれしいです
ちいさいころからのゆめでした
最後に、タッチパネルに換えて、50音表を手を添えることで、指さして、次のような文章を書いて、この日の関わりを終えた。
しあわせ だいじにされて
じぶんでやれたらうれしい
かあさんいつもありがとう
あたたかいはな いっぱいあげたい
はな あげたい
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2009年6月3日 11時50分
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緑の風の歌を聞かせてくれた☆☆さんの次に訪れた○○さん。2人は同級生で、ともに、4月から社会人になった仲間だ。さっそく、☆☆さんの緑の歌を朗読した。そして、○○さんの文章が始まった。
みどりのかぜはわたしもだいすきなことばです
ふしぎです みんながおなじことをかんがえているのが
みどりのかぜのしはわたしもつくっています
にんげんとしてみとめられたいからちいさいときからつくってきました
ここで、スイッチ操作について質問がきた
ふしぎです ちからをいれていないのにどうしてわかるのですか
ゆめのようですみんなもできるのですか
そこで、逆にどうやっているのかを問いかけてみた。すると答えは次のような明快な答え。
じぶんのいいたいことをかんがえて じをまっていて
きたらここだとおもうとじがえらばれていきます
ちいさいころからのゆめでした
そして、次の言葉とともに、詩が綴られた。
きいてください わたしのしを
みどりのかぜがちいさくふいて
みどりがだいちにみちあふれ
しずかにしずかにゆめがかなう
みどりのかぜはちいさいりそうのはなをさかせ
にんげんとしてうまれたことをりそうとして
みどりのかぜはりそうのみのりをわたしにもたらす
にんげんとしてうまれていきてきて
ねがいをたくさんもちながら
みどりのかぜをびんかんにかんじながら
ふだんからちいさいゆめをたくさんもちながら
みどりのかぜをまちつずけてきたけれど
みどりのかぜはなかなかふいてくれなかった
るすばんをしているおんなのこのように
みどりのかぜをまちつずけ
みどりのかぜはようやくわたしのもとにもおとずれた
にんげんとしてのほこりをりそうとしながら
ちいさいときからちいさいゆめをたくさんもって
ゆめをたくさんかなえることはできなかったけど
みどりのかぜがふいてみらいがあかるくひらけてきた
りそうのかぜをゆうきとともにかんじながら
いいじんせいをいきていきたい
にんげんとしてわたしをみとめてくれるひとたちが
ちいさいときからいたけれど
びじんになりたいとねがいながらいきてきたけれど
ゆめをかなえることはずっとこんなんだった
ひとりでちいきでいきていき
ひとりでべんきょうして
みんなをしあわせにしたい
りそうのみどりのかぜにまもられながら
わたしはそらたかくかけのぼりたい
にんげんとしてのきぼうをゆめみてきて
ひとからなかなかりかいされずにきて
りそうどおりのゆめをかなえたい。
☆☆さんとは、また、ひと味違う緑の風の詩だった。
ここで、一緒に来られていたお姉さんから、いろいろな質問が○○さんに投げかけられ、次のような文章が書かれた。20歳を前にした女性として、当たり前の思いが切々と綴られる。
かみがたはもうすこしながいほうがいいです
もうおとなだからながいかみのほうがいいです
めんどうならいいけれどいちおうきぼうをいってみました
びじんになりたいですからおねがいします
じぶんとしてはおねえちゃんぐらいながくしたいです
ふつうのおんなのこのようにおしゃれがしたいです
みんなおけしょうをしたりきれいなようふくをきたりしています
ねがいはいいじんせいがおくれることです
おとうさんはきをつかいすぎです
みんなみうちなのだからみとめあっていきたいです
おかあさんにはいつもかんしゃしています
ゆいいつきぼうがあるとしたらいいふくをきてきれいなかっこうをしてください
ちいさいときからわたしのことでいそがしくてそんなゆとりがもてなかったから
きっとおねがいです
ちいさいころからふつうのかっこうをしたかったけどかないませんでした
ねがいはにんげんとしてびじんになることです
みんなもきっとおなじです
ちいさいころからのゆめでした
みんなとはなしがしてみたいです
みんなのきもちがきいてみたいです
みんなのきもちをちいさいころからしりたかったです
はいけいということばがありますがみんなのきもちのはいけいがしりたいです
ちいさいときからのねがいでした
ちいさいころからのゆめでした
みんなとはなしがしたいです ねがいでした
ちいきでくらしていきたいですがなかなかむずかしそうです
ひとりでくらしたいとおもいますがむずかしそうです
ゆめですがかないそうにありません
ねがいはゆうきをだしてひとりぐらしにちょうせんすることです
りそうのじんせいをいきたいです
当たり前のことをしっかりと書く○○さん。こうした当たり前のことが当たり前のこととしてかなう世の中が、遠くない時期に訪れることを切に願う。そのためにも、こうした一人一人の当たり前の思いを、きちんと伝えていかなくてはならない。
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2009年6月3日 00時34分
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