ニックネーム:柴田保之
性別:男
年齢:56歳
障害の重い子どもとの関わりあいと障害者青年学級のスタッフとしての活動を行っています。連絡先は yshibata@kokugakuin.ac.jp です。

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2009年02月07日(土)
じんせいのつらさをにばんめにかんがえることにします
 ゆっくりと言葉で話すことができる社会人1年目の○○君は、2スイッチワープロでは、おしゃべりとは全然別のことを書く。しかも、口では、「すごい」などと、自分で自分に驚きながらだ。今回の彼の文章は、以下の通りだ。

いいことがありました
きのうぬけだすことができました
じぶんはじんせいのつらさをにばんめにかんがえることにします
ひろいこころがなによりもさいこうで
ちゃんとしたにんげんになるためには
ちゃんとしたきもちをもつことがだいじです
じぶんというそんざいはきのうのなみだといっしょに
ゆめのなかでらくにつくっていけるとおもいます
きいてください
にんげんのふかいこころはなぜのぞみをひつようとしているのでしょうか
にんげんのふかいこころはどうしてほんとうのすばらしさをしっているのでしょうか
ちいさくてもたいせつないのちだから
にんげんはにんげんとしてはいやくのようなりそうを
よきゆめとしてもちつずけていかなくてはいけません
きぶんがいいです
ちいさいときからずっときもちをつたえたかった
ゆめでした
ちいさいときにみんなといっしょになりたいとおもってきたけど
かないませんでした
りそうはにんげんとしてちいさくてもじぶんのきもちとずっとよりそいながら
きぼうをたいせつに
かのうせいをだいじにいきていくことです
きぼうというものをちいさいころからきいてもらえなかったからくやしかった
じぶんのくやしさはちいさいけれど
ちいさいねがいのすばらしさをつうかんしたので
ぶじにちいさくてもいいねがいをもつことができました
いいねがいをもってつよくいきていきたいとおもいます
きっとえらばれたひととしていいじんせいをいきていけるとおもいます
いいいきかたがしたいです
きぼうをたいせつにいいかんがえをもっていきたいとおもいます
ねがいのとおりのいきかたをしたいです
ささえてくれるひとたちといっしょにいきていきたいとおもいます
きいてくれてありがとうございました
おわります

 現在19歳の○○君。もう立派な大人として、人生をしっかりと見据えている。
  
2009年2月7日 23時32分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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人間になることを夢見た人形の詩
しのそうさくをしてきました きいてください

 そういって、☆☆さんは詩を書き始めた。

すてきなちいさなしろいにんぎょうをひろいました
にんぎょうは
ちいさなちいさなぬいぐるみをかかえています
ちいさなぬいぐるみは
ちいさなにんぎょうをかかえています
ちいさなにんぎょうは
ちいさなぬいぐるみをかかえています
ちいさなぬいぐるみは
ちいさなにんぎょうをかかえています
しろいにんぎょうはいいこえではなしをします
にんぎょうはにんげんになることをゆめみていました
にんぎょうとにんぎょうのあいだにはさまれたぬいぐるみも
またにんげんになることをゆめみていました
きっとねがいはかなえられ
きっとにんげんになれることでしょう
きっとちいさなしろいにんぎょうは
ちいさなちいさなねがいをふちどったねがいのはなたばを
ちいさなにんぎょうとちいさなぬいぐるみにあげました
ひとりぼっちのにんぎょうは
ちいさなぬいぐるみをちいさくしながら
しろいにんぎょうにはなたばをくれませんかとききました
ひとりぼっちのにんぎょうは
ひとりぼっちのさみしいぬいぐるみに
そのはなたばをくれませんかといいました
ねがいにふちどられたねがいのはなたばは
ちいさいにんぎょうにはぬいぐるみのように
ねがいにふちどられてふしぎなこえをだしていいました
ちいさいちいさいにんぎょうはいきをして
ふしぎなこえでいいました
くるしかったけどすくわれました

 どこか言葉遊びのようなおもしろさを漂わせながら、懸命な願いのこもったせつない調べの詩だった。
2009年2月7日 22時46分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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中学生の二人の少年の詩
 二人の中学生が、それぞれ、詩を書いた。多くの人たちと同じように、彼らもまた、北という方向と風とに特別の思いを抱いていた。

しろいかぜがふいてねむりについたぼくは
のはらをはしるしろいうまになり
ちいさいすーねをきぼうのかぜにのせてあげようと
きたにむかってとぶようにかけていった
しろいかぜはいいうまにしてくれるかぜ
めをとじるときたのしろいだいちがみえる
ちいさいときからはなすことができなかったぼくの
かなしみがそこにはねむっている
しろいかぜはそんなぼくのねがいをしっていて
ねがいをかなえるためにふいてくる
ちいさいねがいだけどたいせつなぼくのきもちだ
しろいかぜよ
くるしみをつよいみらいへのきぼうにかえて
ゆめをいっぱいください
ぼくのしろいたてがみをせいいっぱいゆらし
せいいっぱいかけていけるようみまもってほしい

「ちいさいときからはなすことができなかたぼくのかなしみがそこにはねむっている」という言葉が、ずっしりと響いた。中3の彼は、これまで、自分で何とか書こうという強い自立の意志を持っていたので、たくさん書ける今の方法は、試してみてこなかった。今回が初めての挑戦になる。これまで、どちらかというと、いたずらっ子風の言葉使いがめだっていたが、今回は、一気に、まじめな顔を見せた。そして、途中、うなるような声を出していたので、手をつないでふる方法で、その声にはどんな感情がこもっているのかを尋ねると、「うれしい」という返事だった。
 二人目は、中2の少年だ。

きたかぜにきいてみよう
ずっとまえからみみをすませてきいていました
しろいゆきはひとのこころをうつくしくして
きたのくにへとかえっていきます
きたかぜはしずかにしずかにふいてきます
きたかぜはしろいゆきをしたがえて
みらいのゆめをぼくにくれます
ちいさいぼくはきぼうをゆめみながら
ちいさいころのねがいを
ちいさいみらいにずっとまえからゆめみていました
きぼうのきたかぜはちいさいぼくにりそうをくれて
きぼうをくれました
きたかぜはしろいゆきといっしょに
きたのくにからふいてきて
にんげんにきぼうをあたえます
きぼうのきたかぜがふいて
きぼうがだいちにみちあふれます
ちいさいぼくはねがいをもちながら
きょうもみみをすませている

 そして、詩を作ることについての彼のコメントは以下のようなもの。

かんがえているときもちがおちつきます
きいてくださってありがとうございます
うれしいですいいきもちです

 彼とも、手を握ってふる方法も試してみた。おかあさんも、これならやれそうとおっしゃる。これからの広がりが楽しみだ。
2009年2月7日 22時02分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 自主G埼玉1 |
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